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パワハラ防止研修を受けたことのある人なら、「パワハラの6つの類型」という表を見たことがあるでしょう。パワハラの典型的な例を、下の6つの類型に分けて整理したものです。

身体的な攻撃
  1. 身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃
  3. 人間関係からの切り離し
  4. 過大な要求
  5. 過小な要求
  6. 個の侵害

この中の「身体的な攻撃」については、上の図の中にある「殴打、足蹴り、物を投げつける」という例のほか、「暴行・傷害」という説明がつけられている場合もあります。

しかし、現在では、殴る蹴るなどのひどい暴力は減っており、職場で「暴行・傷害」と言われても、あまりピンと来ないのではないでしょうか。

といっても、このカテゴリーがまったくなくなったわけではありません。案外身近な行為が該当してきます。

そして、やる側からすれば「ちょっとしたこと」「ちょっと脅かそうとしただけ」と軽く見てしまう場合が多いのですが、たとえ1回きりの行為であっても、すぐに懲戒に結びつくのがこのタイプのパワハラです。

また、かりに「優越的な関係」がなく、パワハラではないとなった場合でも、就業規則の暴力行為の禁止規定に該当して、懲戒を受ける可能性もあります。

職場でありがちな例を、もう少しくわしく見てみましょう。

暴行の例

暴行とは「人の体に対し不法な有形力を行使すること」です。殴る蹴るだけでなく、こんなものも該当してきます。

腕をつかむ、襟首をつかむ

ケンカになる一歩手前という感じですが、この段階でも十分「身体的な攻撃」になってしまいます。

着ているものを強くひっぱる

これも「暴力」や「暴行」とまで感じない人が多いかもしれませんが、職場でこんなことをやられると、安心して仕事ができませんね。これもたいていパワハラと認定されます。

ファイルやノートで頭をたたく

軽く叩いただけ、痛くないだろう、冗談のつもりだった、と、やっている側が思っていても、やられた側にすると屈辱的ですし、「身体的な攻撃」に間違いありません。

ツバをかける、コップの水やお茶をかける

これも、言い合いがヒートアップすると起こりそうなことですね。安いドラマならともかく、職場では「身体的な攻撃」になります。

狭いところで、危険なものや重いものをふりまわす

これは、相手を脅かそうとしたとき、ふざけているときにやってしまうかもしれません。もし、手がすべってほんとうに相手に当たってケガをさせると「傷害」です。当たらない場合でも、危険な行為をするだけで「身体的な攻撃」です。

傷害の例

上のような暴行の結果、相手にケガをさせてしまうと、傷害になります。これはわかりやすいのですが、「有形力の行使」がなくても、相手が心身の健康を損ねると傷害に該当する場合があります。

パワハラについては、被害者にうつ等精神障害が出てくることは珍しくありません。

民事で損害賠償を命じられるだけでなく、相手が刑事告訴すれば、傷害罪で刑事罰となる可能性もあるということです。

ちょっと意外な「傷害」について、判例から見てみましょう。

大きな音を鳴らし続けて精神的ストレスを与え、慢性頭痛症や睡眠障害を引き起こした

被告人は,自宅の中で隣家に最も近い位置にある台所の隣家に面した窓の一部を開け,窓際及びその付近にラジオ及び複数の目覚まし時計を置き,約1年半の間にわたり,隣家の被害者らに向けて,精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら,連日朝から深夜ないし翌未明まで,上記ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして,同人に精神的ストレスを与え,よって,同人に全治不詳の慢性頭痛症,睡眠障害,耳鳴り症の傷害を負わせた

(傷害被告事件 平成17年3月29日  最高裁判所第二小法廷)

暴行や脅迫を長期間続け、相手に PTSD を発症させた

被告人は,本件各被害者を不法に監禁し,その結果,各被害者について,監禁行為やその手段等として加えられた暴行,脅迫により,(中略)精神疾患の一種である外傷後ストレス障害(以下「PTSD」という。)の発症が認められた(中略)上記認定のような精神的機能の障害を惹起した場合も刑法にいう傷害に当たると解するのが相当である。

(監禁致傷,傷害被告事件 平成24年7月24日  最高裁判所第二小法廷)

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パワハラ6類型の「精神的な攻撃」とはなにか