現在、心理的負荷による精神障害の認定基準改正案について、パブリックコメントが募集中です。

精神障害(精神的な病気)の労災での認定基準は、いままで2011年に策定されたものが使われていました。
2020年6月にパワハラ防止対策法が施行になることに合わせ、パワハラについての心理的負荷評価表への追記及びこれに伴う心理的負荷評価表の整理について、厚生労働省で検討してきた内容が発表になっています。
まだパブリックコメントの段階ですので、これで決まったわけではありませんが、おおまかな方向性は変更されないものと思われます。

いままでも、パワハラが原因で精神疾患になり労災給付を受けた例は多々あり、そのときには「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(心理的負荷の強度=強)という項目に該当するということで認定になっています。

今回、この項目は残りますが、内容をパワハラ以外の同僚等からのいじめ、嫌がらせ、暴行に限って、該当するかどうか判断されることになります。

新しく追加される部分(一部)は次のとおりです。

○ 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた【「強」である例】
・ 上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
・ 上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
・ 上司等による次のような精神的攻撃が執拗に行われた場合
▸ 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
▸ 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
・ 心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合

注目すべきなのは、赤い文字で引用した部分です。

パワハラの程度がひどくない場合でも、会社が相談を受けて、適切な対応をしないと、労災として認定される可能性が高くなるということです。

これは、いままであった「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という項目についても、同じ具体例が出ています。

労災認定を受けたからといって、必ずしも民事訴訟で会社の責任が追求されるとは限りませんが、訴えられた場合、労災認定が行われたということは、会社側にとって当然不利になります。

相談を受けたときの会社の対応が適切かどうかが、パワハラ問題が解決するかどうかの分かれ道なのです。

とはいえ、規模の小さい事業所様では、適切な対応ができるだけのマンパワーがないことがふつうです。
ぜひ、ハラスメント外部相談窓口の運用をお考えください。
費用は1ヶ月1万円(税別)からです。

お問合せはこちらからどうぞ