「ハラスメントを受けています。会社で対処してほしい」という申告が、相談窓口に届きました。
社内相談窓口は設置してあるものの、こんなことは初めてだ、と戸惑う担当者の方も多いでしょう。

相談した人、行為者、場合によっては同僚等にヒアリング調査をした後、通常、ハラスメントかどうか判定し、その後の処分を決める臨時の委員会を開くことになります。

委員会の名称は「懲戒委員会」「ハラスメント対策委員会」等会社によっていろいろですが、メンバーは一般的には、社長と人事部長、ハラスメントが起こった部署以外の役員や部長数名というあたりでしょうか。

ハラスメントが起こった部門の部長や担当役員は、場合によっては自分も責任を問われる立場なので、委員会には入れません。しかし、その人達の話を聞かないと、その部署の状況がわからないということはよくありますので、決定権のない状態で会議には参席してもらうこともあります。

また、人事部の担当社員も、ヒヤリング調査の結果を報告したり、議事録を担当したりするために会議に参席することもよくありますが、通常、決定には携わりません。

しかし、ここから社内に話が漏れてしまうことも案外あるのですね。

ヒアリングした人に対しては、口外してはいけないときちんと念を押していたのに、その臨時委員会のメンバーには、つい念押しを忘れる、ということがあります。
メンバーは部長以上の場合がほとんどで、いちいちそんなこと言わなくてもわかっているだろうし、エラい人には言いにくい、と担当者が考えてしまうことがあるようです。

臨時の委員会のメンバーは決定に携わる人、携わらない人、どちらも全員に、秘密保持を求める必要があります。

秘密保持については、たんに「この件について言わないでくださいね」という口止めでは不十分です。下の点をきちんと伝え、念を押しておきます。

  • この件について、臨時委員会や担当者との打合せ等の必要な場合以外に、社内で話題にしない。
  • この委員会で知った内容を、メンバー以外には漏らさない。

また、秘密保持のレベルについては、次のように伝えます。

  • 対面や電話で話すだけでなく、メール、SNS等、すべてのチャンネルで他言禁止。
  • 「ここだけの話」として、社内で話すことは厳に慎むように。
  • とくに、明らかに内容を知っていると思われる、その部署の他の社員に、「いろいろあってたいへんだね」等とほのめかすようなことは言わない。

とくに役員はハラスメント防止研修に参加していない場合も多く、ハラスメント事案の情報コントロールの重要性を認識しておらず、「ついうっかり」漏らしてしまう場合があります。

それを防ぐためにも、全員に徹底するということを忘れないようにしましょう。