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鈴木:少子化、晩婚化の中で、早く結婚していただきたいという思いがある中で、あのような発言になってしまったわけなんですけれども、本当にしたくても結婚がなかなかできない方の配慮が足りなかったということで、いま深く反省しています。

【全文】「塩村議員に早く結婚して欲しかった」 鈴木章浩議員”セクハラヤジ問題”謝罪会見書き起こし | ログミー[o_O]

鈴木章浩都議の釈明を見て、思い出した判例があるので、きょうはこれをご紹介しましょう。

横浜地裁でY市となっていますが、横浜市ではありません。国家賠償事件です。

Y市役所事件(横浜地裁 平成16年7月8日)

事件の概要

原告女性Xは、平成13年にY市役所に採用され、その直後から、直属の男性上司A係長(51歳)にセクシュアルハラスメントを受けた。

その事実をY市の窓口に相談し、被害を訴えたが、担当のBは半月も放置した上、A係長をかばう発言を繰り返し、問題解決のための事実の調査・確定を行わなかった。さらに、被害者であるXの保護や、加害者Aに対する制裁についても、なにも行わなかった。

Y市は、セクハラに関する事実はなく、処分は行わないとXに回答したため、Xは担当者であるBと市長であるDの対応に、違法な不作為の義務違反があり、精神的苦痛を被ったとして、Y市に対して国家損害賠償を求めた。

Aの行為

C課長宅でのバーベキューパーティー

集合写真を撮るとき、「ひざの間に座れ」とXが嫌がっているのに、引き倒すようにして座らせ、「不倫しよう」などと言った。

懇親会での発言

県内の市職員が集まる研究会の懇親会上で、他市の男性職員が独身とわかると、「うちにいいのがいるから」(Xのこと)と発言した。

歓送迎会、暑気払いの席上の発言

「早く結婚しろ」
「子供を産め」
「結婚しなくてもいいから子供を産め」
「言葉のセクハラだけでなく体のセクハラがないのは、自分に魅力がないからか、おれたちに理性があるからか考えろ」

裁判所の判断

上のようなAの行動に対して、判決文の中では、このように述べられています。

A係長が原告に対して行った上記aからdまでの各言動(以下併せて「本件各行為」ともいう。)は,原告が望まないにもかかわらず,結婚や子供をもうけることを性的関心に基づいて話題としたり,また身体の一部に触れるというものである。
本件各行為は,原告の人権を侵害し,原告の勤務環境を著しく不快なものにするものであって,違法な行為である職場におけるセクシュアルハラスメントに該当するものである。

結果

Aの違法行為に対する慰謝料120万円、Bの違法行為に対する慰謝料80万円、弁護士費用20万円の損害賠償をY市に命じた。

参考になるポイント

セクハラが行われた場所

共通の上司である課長宅でのバーベキューパーティー、歓送迎会、暑気払いなど、職場以外で、アルコールが入る場所で、A係長のセクハラ行為が行われています。このように、仕事以外の宴会などでも、セクハラ行為があれば、加害者や会社の責任が問われます。

バーベキューは休日である土曜日に、C課長の自宅で行われ、公金は一切支出されていません。

しかし、職員全員が参加することが想定され、主な目的が職員の親睦を深め、業務を円滑に遂行する基礎をつくるためだと考えられる場合は、これも「職場」の延長ととらえられます。

その他の懇親会や暑気払いなども、同じように「職務に密接に関連し職務行為に付随するもの」と認定されています。

A係長の発言

無理やりひざに座らせたのはひどいにしても、「早く結婚しろ」などの発言については、「この程度のことで」と思われた方もいたのではないでしょうか。

この言葉を言ったらすなわちアウトというわけではありませんが、相手が明らかにいやがっていたり、または、いやがらせを目的にこういう発言をすればセクハラになると思っておいたほうがいいでしょう。

担当者の対応

Y市においては、セクハラ相談窓口が設けられていただけでなく、セクシュアルハラスメントについての基本方針や要綱が定められていました。

そのように、外形的にセクハラ防止の対策をとっていても、実際の担当者がきちんと調査や対応を行わなければ、市には損害賠償する責任があるとされました。

ハラスメントに対するトップの方針を掲げたり、相談窓口を設けるなどは、法律でも義務付けられており、対応の第一歩です。ただし、それが行われているからといって、実際の対応がなければ、意味がないということですね。

 

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セクハラ事案は、もとは小さな問題でも、会社が対応を誤ると訴訟にまでつながることもあります。困ったときは、専門家にご相談ください。
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