出勤7割減! ということで、テレワークが推奨されています。それぞれ在宅勤務しながら、定例の会議や社内の打ち合わせ、朝礼は Web で、というのはよく見られる状況ですね。

みなさんの部署では、Web会議のとき、全員ビデオオンで顔出しにしていますか?

「一日中うちにいるのだから、化粧したくない」「衿がよれよれのスウェットだから見せたくない」という理由で、ビデオオフで真っ暗な画面や、静止画のアイコンで参加している人もいるのではないでしょうか。

「別に顔が見えなくても話ができるのだから、仕事に差し支えないよね」と、ビデオオフ派は考えています。

しかし、管理職の多くは「仕事中なんだから、家にいても身だしなみを整えておくのは当たり前」「顔が見えなくては話しづらくてしょうがない」「自分だけ顔を見せないのはわがままだ」と考えています。

この認識の違いが、パワハラにまで発展してしまうこともあります。

もともとは些細なくい違いです。それがパワハラと思われてしまうのは、どんな場合でしょうか。

部下からの異論や疑問を認めない

「◯◯さん、会議のときはビデオオンにして」と上司が指示したとき、部下が顔出しの必要性に疑問を持っていたとしたら、それをすぐに言えるでしょうか?

「課長、どうしてですか?」

「顔が見えなくても話はできるので、会議の進行に差し支えないと思いますが・・・」

「すみません、きょうはちょっと化粧してなくて、顔出しできないんですよ」

こんな返事が戻ってくるとしたら、OKです。

上司が「自分のいうことにいちいち逆らうのはけしからん」と考えていたら、部下は納得していなくてもだんだんそれを口にしなくなり、どんどん上司への不満が積もっていきます。

なにかを指示したときに、理由を聞いてきたり、自分の都合を口にする部下は、上司からすると、めんどうで扱いにくい相手かもしれません。

しかし、上に書いたようなちょっとした話し合いの中からよい人間関係も生まれ、部下も上司の考えを理解し、仕事のやり方を覚えていくのです。

「いちいち細かい文句を言ってくる部下ばかりで・・・自分ってちょっとなめられてる?」と上司が思っていたとしたら、そのくらいでちょうどいいのです。

部下から質問されてもまともに答えない

「異論や疑問を認めない」のもうひとつのパターンがこれです。

とても多いのが「仕事なんだから当たり前!」で片付けて、自分では説明した気になっている上司です。部下はその「当たり前」を「当たり前」と考えていないので尋ねています。これでは説明になっていませんね。

「表情が見えないと、相手がどう考えているのかわからないので、コミュニケーションがとりにくい」

「相手のようすが見えないと、しゃべっている人はとてもしゃべりにくい。そのような精神的な負担をかけるのはよくない」

「急な打合せが入る場合もあるのだから、在宅勤務でも、とりあえず顔を出せる程度の身だしなみは必要だ」

等等、理由はいくらでも考えられますね。このような理由を説明せず、「自分に従いなさい」としか言えないのでは、根拠もなく、自分の思い込みを押しつけているだけ、と思われてもしかたがないでしょう。

「根拠のない思い込み」というのは、つまり「業務上合理性がない」ということです。それを押しつけて、相手が不快に感じたら、パワハラと言わざるを得ません。

答え方が威圧的、人格否定

「まともに答えない」の中で、さらに問題なのがこのパターンです。

「はぁ? 何言ってるの?」

「だめだめ! わがままばかり言わない!」

「そんなこともわからないのか。だから君はダメなんだよ」

一発で部下からの信頼を失う発言ですね。いつもこの調子では「パワハラ上司」と思われ、部下のモチベーションはだだ下がりです。

「そんな顔に化粧したって変わらないんだから」

などと言うと、今度はセクハラになってしまいます。

さらに、上司がそれなりに根拠を説明しても、その後に舌打ちしたり、ため息をついたり、「・・・ったく・・・」などと付け加えてしまうと、だいなしです。

部下の言い分や都合は聞かない

部下の行動が問題だと思ったら、必ず理由を聞きましょう。

顔出しの必要性を感じていなかった、というだけでなく、たまたまそのとき、なにか突発的なことがあって、支度が間にあわなかったのかもしれません。

「どうしたの? なにかあった?」

と、一言聞くだけでも、相手の印象はまったく違います。

もちろんそのときに「ちょっと個人的な事情で・・・」と言われたら深追いしないほうがよいですね。

「化粧してない」「部屋着のまま」というのが、上司からしたら、身勝手な言い分、未熟な言い分と感じられるかもしれませんが、顔出しの必要性を説明して、「じゃあ、次から頼むよ」といえばすむことです。

自分の都合にも配慮してくれて、むりやり押しつけない上司だからこそ、「次からは上司のいうことに従おう」と、部下も抵抗なく思えるのです。

まとめると

つまり、パワハラと思われないためには次のようにすればいいということですね。

  • 部下の疑問には、合理的な根拠のある説明をする。
  • 答えるとき、暴言・威圧的な態度・人格否定をしない。
  • 相手の都合や言い分も聞く。
  • 自分の考えに固執せず、ゆずれるところはゆずる。

テレワークであろうとなかろうと、もともと上司に必要な態度ばかりです。

みなにストレスがかかっている状態だからこそ、上司のちょっとした一言が、部下にぐっさり突き刺さってしまうことがあります。それを頭に入れて、上のような態度を心がけましょう。