今年もインフルエンザが猛威をふるっています。
従業員がかかってしまえば、どんなに忙しくても休ませないわけにはいきません。

高熱が出ている間は、とうてい仕事など無理な話ですが、体はかなり回復したが、まだ出勤するわけにはいかないとき。
家族がインフルエンザにかかってしまい、家で看護しているが、自分自身は元気なとき。

こんな場合、丸一日の仕事までは無理でも、在宅で短時間、仕事をしてもらえたら助かるのに、ということはよくあるでしょう。

緊急時はとりあえず給与未払いにならないような対応をする

しかし、有給休暇や子の看護休暇をとっている従業員に、たとえ在宅でも会社が命じて仕事をさせると、その日は休暇ではなくなってしまいます。
従業員の側も休んで申し訳ない、という気持ちから、Web会議システムを使って短時間会議に出る、顧客にメールを送る、程度のことは、休みの日にやってしまいがちです。
そういう状況を従業員の好意に甘えて放置しておくと、給与未払いとなり、労働基準法違反です。
法律違反というだけではなく、「休みなのに会社の都合で使われる」と従業員が感じてしまったら、会社への信頼感にも影響してしまいます。

とはいっても、うちの会社にはテレワークや在宅ワークに使えるような制度がない。
そう思ってあきらめていないでしょうか。

緊急の場合は、就業規則にとくに規定がなくても、働いた分の給与が支払われていれば、法令違反にはなりません。
現状使えそうな制度を使えばよいのです。

たとえば、8時間のうち、2時間だけ仕事をした場合には、6時間分時間単位の有給休暇を使う。
または、半日単位の有給休暇を使って、会社は2時間余分に支払う。
とくにテレワークのために機器などは支給していないときは、従業員が持っているパソコン、スマホ、通信環境を使うことになります。
そのことも考慮に入れて、多少多めに支払うというのも、従業員の納得が得られやすいでしょう。

制度をつくり、就業規則を変更する

テレワークを導入する際には、次のようなことを就業規則に定めることになります。

(1)対象となる社員の範囲
(2)テレワークを実施できる場所、対象業務、回数
(3)申出の方法
(4)標準となる1日の労働時間
(5)テレワークが可能な始業開始・終了時刻 、休憩時間
(6)使用可能な情報通信機器に関する事項
(7)消耗品、通信費、交通費の費用負担
(8)業績評価・人事管理等
(9)社内教育制度
(10)セキュリティの遵守

なかなかたいへんですね。
もちろん、会社としてテレワークを導入する、場合によってはテレワークだけではなく、フレックスタイム制を導入するということで、きちんとルールを決めることができれば、いうことはありません。

しかし、「流行性疾患で出勤停止中等のときに、短時間自宅で仕事をしてもらいたい」というニーズがはっきりしているのであれば、就業規則の変更はもっと簡便にすることもできます。
みなし規定を使って、従業員から申告された労働時間が短くても、◯時間勤務したこととする、という条文を作ればよいでしょう。
通信費などを従業員の個人負担にしたときは、その分の手当ても定めることもできます。

新たな制度を導入しようというときには、行政の用意したパンフレットに載っている手順通りにするのが、違法にならないという面では間違いありません。
しかし、それが、個々の会社のニーズに合っているとは限らず、不必要に長大な規程になってしまったり、こんなことは無理だ、と最初からあきらめてしまうことにもなってしまいます。

このあたりは、やはり社労士に相談していただくと、それぞれの会社の事情に応じ、さらに違法にならない、適切な方法を考えてくれます。

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