なにかをはじめるときは、まず目標をたてますよね。
たとえば、ダイエット。

「10キロ減量!」

いいですね。でも、これでは、10キロ減量するために、なにをどうしたらいいのかわかりません。

では、もう少し具体的に、
「甘いものを食べない」
これは有効そうですね。

でも、「食べない」ということは、なにを食べたらいいのでしょうか?
「食べない」という否定文で目標を作ると、なにをしたらいいのか、具体的な行動が出てきません。

さらに、「食べない」を守れなかったときには、罪悪感が大きく、「あー、わたしってダメだ!」となってしまい、モチベーションまでさがってしまう、ということになりかねません。

では、肯定文で目標を作ったらどうでしょうか。

肯定文といっても、
「甘いものを食べないようにする」
これではだめですよ。
甘いものを食べないかわりに、なにをしたらいいのか考えないと肯定文の目標は作れません。

「野菜をたくさん食べる」

これはどうでしょうか。

「たくさん」というのは具体的ではないので、たとえば、「野菜を1日に350グラム以上食べる」でもいいですね。
具体的な行動に結びつく目標です。

ビジネスの場面でも、目標を決めるとき、部下に指示するときは、否定文ではなく、肯定文で考えるクセをつけましょう。

たとえば、書類作成にミスがあったとき。
「次回からミスしません」
といわれても、「ミスをしない」という否定文の目標では不十分です。

そのミスをしてしまうのはなぜなのか、までを考え、対策を肯定文で決めるのです。

そのミスの原因が、本人の確認不足にあるのか、周りとのコミュニケーションの不足にあるのか、スキルの不足にあるのか、その他考えられることを、どんどん出してみます。

もちろん、上司の側が考えられることを一方的に命令するより本人に考えさせたほうが効果的です。

「提出する前に、同僚に見てもらい、互いにチェックしあう」
「指示は口頭だけではなく、文書にして互いに確認する」
「電卓ではなく、Excel などの表計算ソフトを使えるようにする」

いろいろ考えられますね。

たとえば、わたしも「聴き方」のセミナーで、参加者の方に「相手の言っていることを、いきなり否定しないようにしてください」と、お話することがあります。
でも、「◯◯しないように」という気をつけ方は、失敗したときに、「あー、やっちゃった」と思うことはあっても、事前に「気をつける」ことは難しいのです。

それに、「じゃあ、否定しないって、何を言えばいいの?」という疑問も出てきますね。

であれば、もっと具体的に、

「そうだね」
「話はよくわかったよ」
「提案してくれてありがとう」

などの肯定的な言葉をまず言うようにする、としたほうが行動に結びつきます。

実際に行動したいのなら、否定文ではなく、肯定文でやりたいことを決めてみましょう。