傾聴は、よい人間関係を築く上で、とても役立つコミュニケーション・スキルです。

しかし、傾聴を学んでみたものの、自分と意見が合わない話を聞かなければならないという現実に直面すると、「わたしにはムリ」と感じてしまうのではないでしょうか。
とくに反発を覚えるような話を聞くときは、つい反論したくなってしまいますよね。
でも、そんな時こそ傾聴が大切なのです。

ここでは、反発を感じる話を聞く際の傾聴のコツを5つ紹介します。

1.相手の立場に立って考える

相手の意見に反発を覚えたら、まずは相手の立場に立って考えてみましょう。

例えば、友人が「世界は平和になることはない」と言ったとします。
あなたは平和主義者で、反論したい気持ちでいっぱいかもしれません。

でも、いったん自分の考えは脇に置き、友人の背景や経験を想像してみてください。
もしかしたら、友人は戦争の悲惨さを感じさせるような情報に触れていたのかも知れません。

そのように想像してみることで、理解が深まるはずです。

2.判断を保留する

反発を覚える話を聞いているときは、相手の意見を即座に否定したくなるものです。
しかし、そこはグッとガマン。
判断を保留し、まずは相手の話に耳を傾けましょう。

同僚が「この案件は無理だ」と言ったとします。
あなたは「できる」と思っているかもしれませんが、ここは「なるほど、そう考えるんだね」と受け止めましょう。

相手の意見を否定せずに聞くことで、相手は安心して本音を話してくれるようになります。

3.共通点を見つける

意見が合わない話を聞いているときは、ついその部分ばかりに目が行きがちです。
でも、そんな時こそ共通点を見つけることが大切。

例えば、政治の話で意見が対立したとします。
でも、よく話を聞いてみると、どちらも日本社会がよりよい方向に行くことを願っているという共通点があるかもしれません。

共通点を見つけることで、建設的な対話につなげられます。

4.質問する

反発を覚える話を聞いていると、「どうしてそう考えるんだろう?」と疑問に思うことがあります。
そんな時は、オープンクエスチョン(相手の考えや感情を引き出すための、Yes、Noを限定しない質問)を使って質問してみましょう。

例えば、「その経験はあなたにとってどういう意味があるのですか?」と聞いてみる。
すると、相手の考えの背景にある経験や感情が見えてくるかもしれません。

質問をすることで、相手への理解が深まります。

5.自己理解を深める

反発を覚える話を聞くのが苦手だと感じる人は、自分自身と向き合ってみるのも大切です。

例えば、友人の話を聞いていてイライラしてしまったら、「なぜイライラするのだろう?」と自問自答してみましょう。
もしかしたら、自分の価値観が脅かされていると感じているのかもしれません。

自分の反応のクセを理解することで、他者の意見をより柔軟に受け止められるようになります。

反発を感じる話を聞くのは簡単ではありません。

でも、相手の立場に立ち、判断を保留し、共通点を見つけ、質問をし、自己理解を深める。
こうしたコツを意識しながら会話することで、きっと自然に聴けるようになるはずです。

傾聴力を高めることは、人間関係を豊かにするための第一歩。
ぜひ実践してみてくださいね。