当事務所では、ハラスメント防止研修、ハラスメント外部相談窓口等、ハラスメント関連の業務を多く取り扱っています。

その中で、ハラスメント相談窓口担当者の方とお話する機会もありますが、悩んでいらっしゃる方が多いな、たいへんだな、という印象です。

ハラスメント相談窓口担当者の方の悩みを、一部ご紹介しましょう。

なんの訓練も受けていないので、どのようにして相談を受けたらいいかわからない

相談担当者向けの研修を受けていない方は、ほとんどこのように思っているのではないでしょうか。

ただ会社から「ハラスメント相談窓口をやってください」と一方的に命じられただけで、研修を受けさせてもらえるではなし、また、相談を受けるためのマニュアルもない。

最近相談窓口業務を行うようになった方だけではなく、数年やっている方でも、「自分の相談の受け方はこれでいいんだろうか?」という不安から、なかなか自由になれません。

まずは、早急に「相談窓口担当者に研修を受けさせる」「相談対応マニュアルを準備する」ことが必要です。

相談に来た人が感情的になり、長時間まくしたてるので困っている

相談のときに、相手が泣き出してしまったり、お門違いな怒りをぶつけられたり、1時間2時間と話が長くなり、なかなか解放してくれない。

こんな悩みを持つ相談担当者も多いようです。

カウンセラー等のプロであれば、相手が感情的になった場合の対処方法も知っているので、それほど困りませんが、相談担当の経験の少ない方では、自分のほうが精神的に参ってしまうでしょう。

また、相談する人も、初めて会った社外の相談担当者よりも、社内でよく知っている担当者のほうが遠慮がないので、そのようなことになりがちです。

最初から相談時間を決めておく、というのは、このような対応の基本的なことですが、会社がその程度のマニュアルも用意してくれていないということでもあります。

ここでも「相談担当者向けの研修」「相談対応マニュアル」の必要性が感じられますね。

相談に来た人によい印象を持っていなかったので、それが相手に伝わっていないか不安だ

相談担当者はたいてい人事労務の部署にいますので、会社側の視線で従業員を見ていることが多いようです。

大企業であれば、相談に来た人と面識がないのがふつうですが、中小企業では、相談担当者が相談に来た人のことをよく知っていたり、ウワサを聞いていたりする場合がほとんどです。

  • 「仕事は適当なのに、自分勝手な要求事項ばかり多い」
  • 「上司に反抗的」
  • 「服装が派手すぎ」
  • 「協調性がない」

このように感じていた当の相手が相談に来ても、きちんと相手の身になって相談を聞いてあげられるか、「なに言ってるんだ?」という気持ちが顔に出ていないか、心配になりますね。

そのような心配をする相談担当者ならまだよいのですが、相手へのよくない印象を対応に露骨に反映させて、二次被害を与えてしまうこともあります。

相談担当者としては、「この程度のことで…」「あなたにも悪いところがあったのでは?」等は禁句なのですが、つい口に出してしまい、相手の怒りをかったり、相手が精神的にダウンしてしまうというトラブルに発展することがあります。

こういう悩みは、研修やマニュアルでは解決できないことが多く、専門家としては「規模の小さい事業所ほど、外部相談窓口をご依頼してほしい」と言わざるをえません。

ハラスメントとは関係ない相談ばかりでうんざり

相談担当者は、ハラスメントについて勉強していることが多く、どのような行為がハラスメントに該当するのか、理解しています。

ところが、相談に来る一般の従業員はそういうわけにはいかず、相談担当者の目から見ると、「自分が不愉快だったらすべてハラスメントと思っている」「たんなる人間関係のごたごたもすべてハラスメントと思っている」と感じられるような相談が来てしまいます。

「なんでもハラスメントと言い過ぎ」というのは、人事労務担当者の共通した感じ方のようですが、そのような気持ちで相談を受けると、「なぜわたしばかり、こんなイヤな話を聞かなくてはならないのか」と感じてしまいがちですね。

こうなると、相談を受けるという業務が苦痛でしかたがなくなり、相手にも冷たく対応してしまったり、自分自身に心身の不調が出てきたりします。

専門家の目から見ると、内部の相談窓口に、深刻なハラスメント事案よりも「その程度のことで」「ハラスメントじゃないじゃん」と感じられるような相談が多いというのは、従業員にとってよい会社です。

しかし、その矢面に立つ相談担当者としては、そんなふうに受け止めるのは難しいでしょう。
この問題も、外部相談窓口というプロのサービスを利用してほしいところです。

相談が多すぎて本来の業務に差し支えが出ている

実はこれは、社内の人事労務担当者ではなく、労働組合がハラスメント相談の窓口になっている場合に、起こりやすい事態です。

会社の担当者はしょせん会社側、わたしの味方になってくれない、と思って、相談できないことはよくあるのですが、相談窓口が労働組合の中にあると、労組はわたしの味方、と感じられるので、相談がどんどん来ます。

労組の専従であっても、それ以外の仕事は当然ありますし、専従でない場合はさらに会社の通常業務もやっているのですから、ハラスメント相談という負担が重い業務がたびたびでは、たまったものではありません。

ほかの業務に差し支えて長時間労働になってしまったり、精神的に疲弊してしまいます。

相談担当者の人数を増やす、という方法もありますが、やはりここは、外部相談窓口という選択肢も考えてほしいところです。

社内の相談窓口の運用のためには、こちらの記事もご覧ください。

ハラスメント相談窓口を設置したらやるべきこと

また、外部相談窓口を検討してみようかな、とお考えの場合は、こちらからご相談ください。
ご相談は無料です。