12月は賞与の支給月となっている企業も多いですね。 賞与にも、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の保険料がかかってきます。 ただ、その扱いは、3つの公的保険ですべてばらばらです。

まず、雇用保険は、賞与の総額に保険料率(一般の事業所で 5/1000)を かけるだけ。ふだん給与計算でやっているやり方と同じです。 簡単ですね。

保険料は賞与からもしっかり取られるのですが、給付、つまり、会社を 退職した後にもらえる失業給付には、賞与の分ははいってきません。 月々の給与だけが計算の基礎となります。

雇用保険の保険料は、年に一度、年度更新で給与・賞与両方の額をもとにして 納付する額を決定します。 ですから、賞与を払った都度、届け出る必要ありません。

次に健康保険と厚生年金保険ですが、計算のやり方は、標準賞与額(実際に 支給した賞与の額から1,000円未満を切り捨てたもの)に対して、それぞれの 保険料率をかけます。

ひとつ注意しておかなければならないのは、標準賞与額の上限が、 健康保険・厚生年金保険それぞれ別になっていることです。

健康保険は、年度(4月1日から3月31日)内に支給した賞与の合計で見ます。 上限額は540万円で、これ以上の額の賞与を支給しても、540万円の 標準賞与額に対する保険料しか、かかりません。

ですから、夏冬2回賞与を支給しているときは、前回の賞与額も見なければ、 標準賞与額が決められないということになります。

厚生年金保険は、1ヶ月に支給した賞与で見ます。 賞与を同じ月内に2回に分けて支払ったような場合は、その合計額を出します。 上限額は150万円です。

そして、厚生年金については、給付、つまり、年金額に賞与の分も反映されます。 健康保険の給付、たとえば、傷病手当金や出産手当金を計算するときは、 標準報酬(ふだんの給与額)がその基礎となりますので、やはり賞与で 支払った保険料分は、無視されることになります。

健康保険・厚生年金保険については、賞与を支給した後に、一括して 年金事務所(健康保険組合加入の会社は健康保険組合にも)、届出をします。

給与については、いったん決まると、会社が就業規則に規定されてないような 一方的な理由で下げることはできません。 また、労働基準法や最低賃金法の縛りも受けます。 しかし、賞与については、就業規則で「賞与を支給する」とはっきり 書いてない限り、会社に支給する義務はありません。

その金額についても、就業規則の範囲内で、会社が自由に決められます。 同じ年収でも、給与と賞与の割合の決め方で、様々な面に影響が出てきます。 このような賞与の性格を理解した上で、日々の生活費の計画や、 資金計画を考えたいものです。