社内のハラスメント相談窓口担当者になりました。
でも、「相談窓口をやってね」と言われただけで、とくにマニュアルもなく、実際に相談が来たらどうしたらいいのかわかりません。
ただ、相手の話を聞いて記録すればいいのか?
それで、相談窓口の役割を果たせるのか?
迷いますが、だれもどうしたらいいのか、教えてくれません。

全国の事業所で、上のような状況に陥っている担当者の方が数多いることでしょう。

そんな悩める担当者のために、なにを準備すればよいのか、お伝えしましょう。

最初に準備するもの

準備することは、ほんとうはいろいろあるのですが、ひとつだけ準備するとすればこれです。

相談受付票
相談受付票

画像をクリックすると、PDFファイルがダウンロードできます。
同じ内容で、書き込み用の Excel ファイル もあります。

ハラスメント相談は、通常の悩み相談とは違い、事実の聞取りをしなくてはならない、という大きな特徴があります。

しかし、聞かなくてはならない項目は多岐にわたります。
とても覚えきれませんね。

聞き漏らしたことを、あとでメール等で本人に尋ねてもいいのですが、1回くらいならともかく、2回3回と問い合わせてしまうと「この人だいじょうぶかな?」と、信頼を失ってしまいます。
なるべく、一度で全部聞いてしまいたいものです。

そうなると必要になるのが、チェックリストです。

ご紹介した「相談受付票」の形式でなくてもよいので、なにを尋ねるべきか、あらかじめ準備しておきましょう。

受付票やチェックリストに沿って、順番に聞いていくと、相談者が感情的になることも少ないですし、「どのように聞いたらよいのか」と悩む必要もなくなります。

本来、会社でマニュアルや聞取り票の書式は準備すべきものなのですが、必要性が知られていないため、そのような準備もなく、担当者が自分のやり方で聞いている、という事業所が多くあります。

次に準備するもの

社内担当者が受けたハラスメント相談の内容を、あとから見せていただくことがあります。
たいていエピソードはきちんと聞いているのですが、「いつ」「いつからいつまで」「どこで」「目撃者はいたか」等、後で事実を確認するための材料が乏しいのがふつうです。

上の受付票や、なんらかのチェックリストを使えば、そのようなことにならずにすむのですが、もうひとつ、事実確認のためのツールがあります。

行為者聞き取り票
行為者聞取り票

上でご紹介した「相談受付票」と同じく、Excel版 も用意されています。

ハラスメント相談では、相談を受けてそれで終わりではありません。
相談しに来た人の同意を得た場合、その後、「あの人にハラスメントを受けています」と名指しされた行為者に事情を聞く必要があります。

相談担当者の役割は、被害を受けている人の相談を受けることで、行為者への調査はやらない、という場合も、見ておいてほしいのです。

なぜこれが必要なのでしょうか。

相談を受ける段階で、「なにを聞いておけば、後で行為者にきちんと事実確認できるか」という観点で質問をすると、その後の調査がスムースだからです。

たとえば、ハラスメント行為が起こった日時がはっきりしない場合でも、会議等、なんらかのイベントの前後ではなかったか、と、その職場にいる人ならわかるような内容を聞いておくと、あとで行為者に思い出してもらいやすくなります。

「ひどい言い方をされました」「高圧的な態度でした」という相談者の話では、行為者に尋ねても「心当たりがない」と言われてしまうのがオチです。
そうならないためには、相手が「◯◯」と言った、◯◯という行為をした、という◯◯の部分を具体的に聞く必要があります。

具体的な言葉や行動の記述があると「よく覚えてないけど、言ったかもしれない」程度のことは、引き出せる場合が多いのです。

マニュアルも見ておこう

参考資料9_パワーハラスメント社内相談窓口の設置と運用のポイント

3つ目に必要なのがマニュアルです。
これも、画像をクリックするとダウンロードできます(Word ファイル)。

タイトルに「パワーハラスメント」と入っていますが、セクハラの場合も、やり方はおおむね同じです。

分量が多すぎる! と思ったら、ひとつだけ必ず目を通しておいてほしいのが、ここです。

窓口担当者が言ってはいけない言葉や態度

(1) 「パワハラを受けるなんて、あなたの行動にも問題(落ち度)があったのではないか」と相談者を責める
(2) 「どうして、もっと早く相談しなかったか」と責める
(3) 「それは、パワハラですね/ それは、パワハラとは言えません」と断定する
(4) 「これくらいは当たり前、それはあなたの考え過ぎではないか 」と説得する
(5) 「そんなことはたいしたことではないから、我慢した方がよい」と説得する
(6) 「(行為者は)決して悪い人ではないから、問題にしない方がいい」と説得する
(7) 「そんなことでくよくよせずに、やられたらやり返せばいい」とアドバイスをする
(8) 「個人的な問題だから、相手と二人でじっくりと話し合えばいい」とアドバイスをする
(9) 「そんなことは無視すればいい」とアドバイスをする
(10) 「気にしても仕方がない。忘れて仕事に集中した方がよい」とアドバイスをする

覚える必要はありませんが、読んでおくと、どのような発言がNGなのかはわかります。

相談に来た人に二次被害を与えないため、相談担当者としては重要な心得です。

上の3つの資料は、すべて下のサイトからダウンロードできるものです。

ハラスメント関係資料ダウンロード|社内でハラスメント発生! 人事担当の方|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト-

ご紹介したもの以外にも、ハラスメント対応に必要な情報が満載ですので、担当者になったら、ぜひ少しずつ目を通しておきましょう。