4月からの新入社員や、異動してきた人たちに対して、当初の研修やOJTが一段落し、実戦に入る頃ですね。

慣れない仕事を覚える方もたいへんですが、教える方もたいへんなもの。どうやって指導したらよいか、悩んでいる管理職の方もいることでしょう。

なかなか思うとおりに動いてくれないと、つい「近頃の若い者は」という決まり文句をつぶやきたくなりますが、ちょっと待って下さい。「ついてこられない相手が悪い」と思ってしまえば、そこから先はなにも変わりません。まず、自分の指導方法がいまのままでだいじょうぶかどうか、そこを考えてみましょう。

人を指導するときの一般的な法則は、なれないうちほどこまめに口を出す、そして、相手がなれてきたら、できるだけまかせる、ということです。

そんなの当たり前でしょ、と思われるかもしれませんが、では、「こまめに口を出す」というのは、具体的にどういうことでしょうか。

最初はうまくできなくて当たり前です。そういうときに、事細かに「あれもダメ、ここも直して」と言うのは、確かにていねいな指導ではありますが、「上司はわたしの未熟なところばかり見て、進歩しているところは見てくれない」という不満が出やすい方法でもあります。

注意するべきところは注意する必要がありますが、忘れてはいけないのは、できているところを認めてあげることです。

指導する側からすれば、
「この程度のこと、できて当たり前。いちいちほめるのは甘やかすことになる」
という気持ちはあるでしょう。

でも「ほめる」のと「認める」のはちょっと違います。

定期的に、または仕事の段落ごとに見てあげて、問題ない部分については、
「ここはOK」
「このままのやり方でいいよ」
と、確認するだけでよいのです。

カーナビも、しばらく曲がるところがないと沈黙してしまいます。知らない道を走っているときは、しばらく案内がないと、「この道でだいじょうぶかな?」と不安になってくるものです。

そういうときに
「しばらく道なりです」
と音声の案内が入ると、安心して走り続けることができます。

それと同じように
「横道にそれていないよ」
「このやり方で間違っていないよ」
「このままでいいよ」
という点も、一言添えてあげると、指導される方は安心して仕事に取り組めますし、
「自分の状況をよく見てくれている」
上司や先輩に対する信頼感が生まれてくるのです。