職場で一日中マスクをしているのは、すでに日常になってしまいました。完全に慣れてしまえばいいのですが、「いままでとは違う、なにかうまくいかない」という感覚もあるはずです。

とくに、多少まとまった内容を説明したり、指示したりするときは、マスクをしていることの影響がはっきり出てきます。

マスクで顔の下半分を隠してしまっている状態では、前と同じようにふるまうのではなく、少し工夫が必要なのです。では、どこを意識すればよいのか、3つの対策を見てみましょう。

1.声が伝わりにくいことへの対策

マスクをしていると、表情がうまく伝わりませんね。表情だけでなく、実は話し声も、くぐもっていたり、無意識に声が小さくなっていたりして、伝わりにくくなっています。

わからなければ、聞き返してくれるだろう、と思いがちですが、何度も聞き返すのは、聞き返す方も負担になり、あまりよくわからなくても「まあいいや」と、聞く努力を放棄してしまいがちです。「わかったふり」をしていたが、実はわかっていなかった、ということになってしまいます。

そんなことにならないよう、声の大きさに気をつける、はっきり発音する、ということを意識しましょう。

また、「声の大きさや滑舌はだいじょうぶですか?」と、最初にたずねる心配りがあるといいですね。

説明するときにかんたんな図を書いたり、写真を使ったり、言葉で伝える以外の方法も工夫してみましょう。

2.表情が伝わりにくいことへの対策

マスクをしていると、口元だけでほほえむ表情は、伝わりにくくなります。見えている目元で示すには、目が細くなるくらいしっかり笑顔をつくる必要があります。

微妙な表情ではなく、思い切り笑顔になる、ということもひとつの対策ですが、言葉以外で感情を伝えるものは、顔の表情だけではありません。

上に書いた声も重要な要素ですし、動作でも、親しみを感じてもらえるような表現をすることができます。

相手の動作をさりげなく真似る、相手のしゃべり方のペースや声の大きさに合わせる、というのも効果的です。

もうひとつ、接客業ではすでにやっているところもあるようですが、ネームプレートに笑顔の写真を大きめに入れておくというのも、いい方法です。ご本人が仏頂面のままでは、写真で代理はできませんが、「ほんとはこのような表情なんですよ」とさりげなく伝えることができます。首から下げる場合、下のほうになってしまって見にくいのはもったいないので、ストラップを調節して、胸元にくるようにしましょう。

3.疲れやすいことへの対策

1と2を読んで「こんなことずっとやっていたら疲れるよね」と感じた方もいらっしゃるでしょう。そのとおりです。

常に「自分のことば、声、動作は相手にどのように伝わっているか」と考えて行動するのは、緊張も感じるし、いままでよりおおげさに表現することも、疲れる要因になります。

もうひとつ、マスクをしていると、呼吸が浅くなったり、口呼吸になってしまうことがあります。これも、気づかぬうちに疲労の原因になっています。

「マスクをしていると、マスクなしの生活よりも疲れる」ということを前提に、長時間労働にならないようにする、リラックスできる場や時間をつくる、ということを意識してみましょう。

とくに、長時間労働は、マスクをつけている時間が長くなるということでもあり、なお疲れを感じやすくなります。

人と会って話したりお酒を飲んだりするのが好きな人には、気晴らしが難しいかもしれませんが、LINEでビデオチャットをするなど、オンラインをうまく生かして、対策をしましょう。