2022年4月1日から、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の事業主への措置義務が中小企業にも適用されています。

パワハラ対策として、まず思いつくのは研修ですね。
でも、研修にはお金も時間もかかります。
とくに外部講師を呼ぶとなると、講師料は数十万単位になってしまうのがふつうです。
いったいどうしたらいいのか、と悩んでいる経営者・ご担当者も多いのではないでしょうか。

パワハラ防止研修は3年に一度でよいのか

一度研修を実施すると、それで安心してしまい、次は3年後、4年後・・・
このような事業所様を多く見かけます。

実効性のあるパワハラ防止策を考えれば、もちろん毎年研修をやっていただきたいところです。
しかし、毎年やるのは時間も費用もたいへんです。
そして、管理職に「またパワハラ防止かよ」といううんざり感が出てくるのも困りますね。

毎年が無理なら2年に1度、3年に1度ではどうでしょうか。
これで、事業主の措置義務はクリアできるのか。
なにより、社内に「パワハラは決して起こしてはいけない」という機運を醸成できるのか。

2年に一度、3年に一度でも、定期的に繰り返し行われているのであれば、なにもしていないよりはかなりマシでしょう。

しかし、たとえば、ある管理職がパワハラ行為を行って被害者から訴えられたとします。
会社も、パワハラ行為を知りながら放置していたとして、安全配慮義務違反で、加害者と同時に損害賠償請求されることが多いですね。
会社としては、「会社はパワハラ防止のために、できることはちゃんとやっていました。教育を受けてもそれに従わなかった管理職個人が悪い」という結論にもっていきたいところです。
その根拠として、3年前に一度やったパワハラ防止研修が効果を発揮するかというと、かなり疑問です。
逆に、毎年研修を行っていれば「会社として、措置義務は果たしている」と抗弁することができますね。

研修以外にも、機会あるごとに従業員に「ハラスメント防止」を呼びかけていれば別ですが、3年に一度の研修では、そのときだけ考えればいい、ということになってしまい、日常の取り組みとして定着させるのは難しいでしょう。

そして、いちばん問題なのが、欠席者の扱いです。

忙しく、責任が重い管理職全員を一度に集めて、売上に直接関係ない研修を受けさせるのはほんとうに難しく、たいてい欠席者が出てしまいます。
人数が多い会社であれば、2班、3班に分けて同じ研修を複数回行い、どれかに必ず出席するようにさせて、この問題をクリアしていますが、管理職の人数が20名もいない会社では、それも難しいでしょう。

そうなると、3年に1回の研修に欠席してしまうと、次の研修はまた3年後です。
その従業員は6年間教育を受ける機会がないということになります。

よんどころない事情で欠席する場合ももちろんありますが、パワハラ行為の疑いのある人ほど、研修には消極的で、なんとかパスしようとします。
「ほんとうに研修に出席してほしい人は出席してくれない」という人事労務担当者の嘆きは、筆者も何度も耳にしています。

法的リスクという面でも、そもそも社内でパワハラを起こさないようにしたいという面でも、たいへん危険な状態になります。

パワハラ防止研修の内製化がおすすめ

では、研修を毎年行い、しかも、あまり費用や手間をかけないようにするには、どうしたらよいのでしょうか。

当事務所のお客様は、すでに、複数回パワハラ防止研修を実施されたところがほとんどです。
そのような「先行事例」を見ると、ポイントがわかります。

2回目、3回目の研修では、初めて研修を受ける人と経験者との間の理解に差があり、全員にフィットするプログラムを作るのが難しくなります。
かといって、初めて研修を受ける新任管理職、そして、前回なんらかの事情で出席できなかった人たちのために、別の研修を行うのは現実的ではありません。

そのような場合、新任管理職と欠席者のために、社内でパワハラ防止の勉強会を行うことをおすすめしています。
研修の内製化ですね。

20人の社員の前で研修講師をしてくれ、と命じられたら、たいていの人は負担が重くて尻込みするでしょう。
実際に、準備のために時間と神経を使い、本来の仕事にさしつかえてしまうかもしれません。

しかし、おすすめしている「内製化」は、研修コンテンツを一から社内で作って、講師も社内から出す、という敷居の高いものではありません。
外部講師を呼んで行う研修と、うまく組み合わせるのがポイントです。

内製化のコツ その1:最初は専門の外部講師を呼ぶ

なーんだ、と思われるかもしれませんね。

内製化といっても、一度も社内で研修を行ったことのない状態では、まさに一からということになり、内容の準備や講師を命じられた従業員への負担が重くなります。

そこで、一度、専門の講師を呼んで、パワハラ防止研修を行います。
そうすると、「研修はこのようにするとよい」というイメージもわかりますし、レジュメも手に入ります。

それなら、研修に使えるDVDを購入すればよい、と考えるかもしれませんが、一方通行のDVDとは違い、対面の研修は受講者を巻き込む工夫がこらされています。
内製化のためには、そこをよく見ていただきたいのです。

内製化のコツ その2:対象人数は数名にする

原則として管理職全員参加でパワハラ防止研修が行われました。
しかし、先に書いたようにどうしても欠席者が出てしまいます。
また、次の研修までに昇進して新たに管理職になる人も出てきます。

社内の勉強会の対象は、そのような人だけにとどめ、大人数にしないようにしましょう。

対象が2,3人であれば、とくに講師の経験がなくても、なにかを教えることは難しくありません。

社内の勉強会は、外部講師を呼んだ研修を補完するものとして考えましょう。

内製化のコツ その3:DVDや e-ラーニングを利用する

勉強会をするときも、講師をする社員が全部説明するのではなく、市販の研修 DVD や e-ラーニングの教材を利用すれば、ぐっと楽になります。

研修DVDや e-ラーニングを使うのであれば、社内講師を用意しなくても。それだけで十分ではないか、という考えもあるでしょう。

しかし、研修DVD等はあくまでも一般論です。
それぞれの会社にフィットした内容になっていないので「他人事」として受け取られる可能性が高いのです。

そのギャップを埋めるために、社内講師がいっしょにDVDを見て、「ウチの会社ではこういう場合は?」という質問を受けたり、仕事の内容に即して注意すべき点を説明してあげることが効果的なのです。
e-ラーニングの場合も、ひととおりの知識は e-ラーニングで得た状態で、30分程度の短時間でも、ハラスメント防止規程等の社内体制の説明や、仕事の実情に応じた注意を、社内の講師が行うのがよいでしょう。

内製化のコツ その4:数年に一度はアップデートのために外部講師を呼ぶ

さて、もう一度「その1」に戻ってしまったように見えますが、そうではありません。

内部の勉強会の弱点は、一度コンテンツを作ってしまうと、社会の変化等に対するアップデートがなかなかできないということろです。

とくに、ハラスメントについては、判例や国の施策等も年々更新されており、一般の会社がそのような情報を常にキャッチして、自分でアップデートしていくのは難しいでしょう。

ここはやはり、専門家です。

2,3年に一度は外部講師を呼んで、そのときの情勢に応じた内容で研修を受けます。

このようにして、外部講師による研修と、社内の勉強会をうまく組み合わせると、従業員のパワハラ防止に対する意識喚起、そして法的リスクへの対応を、比較的少ない費用で実現することができます。

「パワハラ防止研修ができるようになるセミナー」で内製化を実現する

外部講師の研修と、その後の内製化を支援するセミナーが近々実施されます。

パワハラ防止研修ができるようになるセミナー | SRCハラスメント防止センター

第一部 2022年4月29日(金・祝) 13:30~16:30

第一部は、通常のハラスメント防止研修と同じものをオンラインで行います。

レコーディングした動画とパワーポイントの資料をお渡ししますので、そのまま社内研修に使うことができます。

当日出席しなくても、上述のようにあとでゆっくり動画を見て勉強できるようになっています。

第二部 2022年5月5日(木・祝) 13:30~16:30

第一部の動画を従業員に見せるのであれば、通常の研修用DVDと同じです。

このセミナーのひと味違うところは、どのように研修を行うのか、企画段階から実際の講師としての振る舞い方まで、くわしくご説明する点です。
内製化した場合、ご担当者の負担がぐっと軽くなります。

また、2ヶ月間は、ネットからレコーディング動画をご覧になれますので、祝日なので従業員に出席を命じるのはちょっと・・・という心配もありません。

第三部 2022年5月26日(木) 13:30~16:30

さらに講師としてのスキルを磨きたい場合は、第三部まで「通し」でお申込みください。

あらかじめご自分で研修プランを作成していただき、その中から15分程度を受講者のみなさまが講義します。講師からフィードバックとアドバイスを行います。

くわしい内容、お申込みはこちらをご覧ください。
とくに第三部は残席が少なくなっておりますので、お早めのお申込みをおすすめします。