職場にヌードカレンダーがあるとなにが起こるか

ツイッターで見かけた投稿です。

ツイッターの表示をクリックすると、返信や引用を読むことができますが、多くは「当たり前だった」「別に害はなかった」という内容のものです。

要するに「むかしはおおらかでよかった」ということですね。

しかし、ほんとうにそうでしょうか?

自分の部屋など、プライベートな空間であれば、ヌードカレンダーを貼ろうが、過激な動画を見ようが、それはその空間の主の自由です。

しかし、問題は、そこが「職場」であるということですね。
職場には当然女性もいますし、アルバイトの高校生等、未成年者がいる場合もあります。
事務室や工場は誰でも入れるわけではありませんが、職場が店舗で、多くのお客さんが訪れることもあるでしょう。

つまり、プライベートではなく、パブリックな場です。

そのようなパブリックな場にヌードカレンダー、つまり、だれでも鑑賞できる女性のヌード写真が貼ってあると、どのようなことが起こるのでしょう。

ヌードカレンダーを見ると羞恥心を感じる。居心地が悪い。
これは当然考えられることです。
「職場環境の悪化」にもつながりますね。

これだけでも、現在ではセクシュアルハラスメント(環境型セクハラ)として、許されないということが、多くの人に理解されています。

上の点も問題なのですが、もうひとつの大きな問題があります。

職場に女性の性的な写真が展示されている→女性は性的に楽しむ存在であって、対等な職場の仲間ではない。

上のような考え方が蔓延することを、助長するからです。

ヌードカレンダーだけではない環境型セクハラ

事実、このころは、「女性の胸やおしりにタッチする」というのが、冗談やあいさつ代わり(!)として行われ、とくに咎められることはありませんでした。

引用したツイートにあるのが、ハートネットTV 平成がのこした“宿題” 第1回「セクシュアルハラスメント という番組のキャプチャです。

こんな感じだったよね~、というのが、その時代にすでに企業で働いていた筆者の感想です。

相手の同意なく体に触れるというのも、環境型セクハラのひとつです。

ヌードカレンダーの掲示程度なら「みんな平気だった」という、かなり事実とは違う一方的な見方も説得力を持つのかもしれませんが、さすがに胸やおしりへのタッチとなると、そうは言えないでしょう。

やられたほうは大きな屈辱感と不快感を感じますし、ここまでくると性犯罪です。
「ヒップに触れただけで逮捕」というのは、この時代のおじさんたちには予想外の出来事だったかもしれませんが、現在の基準で見ると、別にへんでもなんでもありません。

ヌードカレンダーの掲示と、体に触るという2種類のセクハラは関連しています。
一体となって女性の感情や主体性を軽視し、人権侵害当たり前の雰囲気を作っていたわけです。

これがほんの30年~40年前の日本の姿です。

「昔はよかった」に注意

一部の男性からすると、職場で女性のヌード社員を見ることができ、好き勝手に女性の体に触っても咎められなかった時代は、「いい時代」だったのかもしれません。

ただし、匿名のツイッターならともかく、会社や友人関係、家庭等、通常の人間関係の中でそれを言ってしまうと「セクハラしたいのか?」と思われ、「人権侵害が起こっている状況がいいのか」と、人間性にも大きな疑問符がつけられてしまうでしょう。

「人権」なんて自分には関係ない、と思っているかもしれませんが、現在の企業経営には、人権尊重の姿勢が欠かせません。
ひとりの会社員としても、当然そのような姿勢が求められます。

このころを知らない若い人たちにこの話をすると、女性だけでなく男性も、顔をしかめて嫌悪の感情を示す人が少なくありません。
時代がこのころに戻ることは決してないでしょう。
しかし、「あのころに戻りたい」という発言が大きな声にならないよう、ハラスメント防止、人権侵害の防止に、引き続き力を注いでいく必要がありますね。