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都議会で女性議員にセクハラやじ NHKニュース

女性都議へヤジ、抗議1千件 自民、発言者特定せぬ意向 (朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

都議会セクハラやじ問題、抗議のネット署名4万人に – ITmedia ニュース

都議会のヤジ問題で、「セクハラ」という言葉が大きく報道されています。

「けしからん! ヤジをとばした議員を糾明して処分すべきだ」ですむ話ではありますが、職場におけるセクハラについても、参考になる論点が含まれています。その点について、ご説明しましょう。

セクハラは仕事に関係ない

9日午後、報道各社の取材に応じた塩村議員は、やじに同調する議員が複数いたことが残念だとしたうえで、「人格を否定するようなやじや政策と全く関係のないやじはするべきではなく、ひぼう中傷になる。質問に立つ議員を尊重してほしい」と述べました。(強調は引用者)

都議会で女性議員にセクハラやじ NHKニュース

まず注目したいのは、被害を受けた塩村都議もヤジ自体は否定せず、その内容を問題にしていることです。

もちろん、ヤジは感心できたことではありませんが、質問内容に関連するものであれば、それはそれとして受け止めることもできます。職場において、厳しい叱責がパワハラになるかどうかについて、厳密な線引きができないことに似ていますね。

今回のヤジは、仕事(政策)に関係のないことであり、塩村都議が女性であることをからかったものですから、まさしくセクハラです。個人攻撃であり、人格否定となります。議員だからといって、甘受すべきものではありませんし、職場においても、業務に役に立つようなことはなにひとつなく、マイナスだけなのですから、ガマンしないほうがよいのです。

セクハラを受けた側の素行を問題にできるか

上記のような経歴を持つ塩村女史が晩婚化や出産関連の都政に冠する質問をする場合に、例えば『晩婚以前に他人の家庭を壊すな不倫女!』『みんなの党は他に適任いないのか!』というようなピンポイントに正論を語る野次や、『お前が言うな!』『どの口が言うか』『自分が何してきたのかよく考えろ!』といったボカした野次のほうが、一般論ではありますが正論となり品位も保たれ世論も反発せず本人に然るべきダメージが届くのではないでしょうか。

セクハラ野次@都議会事件に関する一般論による解説(山本 一郎) – 個人 – Yahoo!ニュース

上の引用部分にある「上記のような経歴」というのは、塩村都議が、過去にタレントとしてテレビで周りの男性を振り回していた体験談を披露していたこと、「さまざまな男性を渡り歩いて、好き放題にやってきた経歴」、不倫疑惑などのことです。

宴席でセクハラ行為が行われたときに、とめもせずいっしょになって騒いでいた被害者について、過失相殺が行われた裁判例などはありますが、これはそのような場合にはあたりません。

過去にシモネタや奔放な恋愛の体験談を披露したことのある女性に対して、「他人の家庭を壊すな不倫女!」というのは「正論」かというと、まったくそんなことはなく、りっぱな(というのもへんですが)セクハラです。

職場でのセクハラの定義は、

  1. 性的な言動がある
  2. それが相手の意に反している
  3. 労働条件について不利益を受けるか、就業環境を悪化させるか

というものです。この場合は、「就業環境を悪化させる」、つまり仕事をやりにくくするような「環境型」のセクハラにあたるのは明らかですね。

また、上の引用からは離れますが、「素行に問題がある」と周りから思われている女性が、セクハラの被害を訴えたときに「おまえが言うな」といえるかというと、そんなことは関係ありません。

そもそも、成人女性について素行を云々するということ自体、失礼な話です。かりに、自分の価値観で他人を裁くことをよしとしたとしても、仕事には関係のない話であり、個人的、性的な内容を下品な言葉でぶつけるのは、十分にいやがらせです。被害者が被害を訴えるのは当然のことです。

性犯罪の被害者に「そんな露出の多い服装をしていたから」「夜道をひとりで歩いていたから」などと非難する、いわゆるセカンドレイプに似た状況であると思います。

職場においても、離婚歴のある女性、なにかと性的なうわさのある女性に対して、「このくらいならいいだろう」と考えることは、セクハラの加害者になって懲戒を受ける状況に、自分を追い込んでいるようなものですね。

特別な事情がある人に対するハラスメント

−−ご自身が広島出身の被爆2世だと公表されています。
◆いろいろな立場や年齢、病気など結婚や妊娠、出産に悩みを持つ女性は大勢います。(「産めないのか」というヤジもあり)本当にそんなことが言えるのか、と思いました。

セクハラヤジ:塩村都議「今の時代に言われるとは」 – 毎日新聞

今回のヤジを放った人は、塩村都議が被爆二世であると知らなかったのかもしれませんが、「産む」ということに関して悩みを持っていることが容易に想像できる人に対して、まさに心ないことを言ったものです。

基本的に、職場で他人の体に触れることはあまりないと思いますが、励ましの意味で軽く肩をたたく、程度のことは、ふつうならセクハラとは受け取られません。

しかし、他人に体を触れられることに強い拒否感を持つ人もいます。それについて知らなければしかたのないことですが、それを周りに伝えて、「ふつうならなんでもないことでも精神的に打撃になってしまうので、配慮をお願いします」と言っているような場合はどうでしょうか。

セクハラは、受け取る側の感じ方によるとはいっても、あまりに世間一般の考え方、感じ方からかけ離れている場合は、そのままとおるわけではありません。

ただ、通常であればセクハラとはならないようなことでも、相手がとくに拒否感をもつような事情を知っていて行った場合は、ハラスメントであると認定される可能性は高くなります。

 

 

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