4月といえば、フレッシュな新入社員が入ってくる季節。
と言いたいところですが、中小企業では新卒の一括採用をしているところは少なく、人手の増減に応じて通年募集しているものです。

そして、4月は3月末に次の会社を決めずに退職した人たちが就職活動を始める時期となり、新規求職申込みが1年でいちばん多い月なのです。当然、採用面接も活発に行われています。

そんな中、とある飲食店の店長さんは、こんな疑問を持っています。

「パートの面接に来た女性が、結婚はしてるけどまだ子供がいないという場合、『お子さんをつくる予定は?』と訊ねていいものか?」

これに対しては、「そんなのだめでしょう!」と思う人が多いのではないでしょうか。
そもそも面接のときに「出産予定はありません」と言ったからといって、入社後に妊娠するかどうかは、ご本人を含めてだれにもわかりません。
ほとんど意味のない質問ですね。

一般に家族状況に対する質問は、就職差別につながるおそれが大きいとして、厚生労働省が訊ねないように呼びかけており、不法行為となる可能性が高いものです。

参考:公正な採用選考を目指して | 採用選考時に配慮すべき事項

さらに、この店長さんに「男性の応募者にも同じ質問をしますか?」と聞いて、答えがNOであったとしたら、男女雇用機会均等法が禁じている、性別を理由とする差別にあたります。

参考:企業において募集・採用に携わるすべての方へ 男女均等な採用選考ルール(pdf)

違法だの不法行為だのものものしいですが、訊ねてはいけない、という理由はこれで十分でしょう。

しかし、店長さんは釈然としません。

「女性は赤ちゃんを生むと産休や育休で長期に休んでしまうし、復帰したとしても、子供が熱を出したりしてしょっちゅう休む。人手不足でシフトを組むのに苦労しているのに、そういう可能性がある人を雇いたくないのは当然でしょう」
と思っています。

女性差別と言ってしまえばそれまでですが、この店長さん、それ以外にも大きな見落としをしています。

「お子さんつくる予定ありますか?」等という不躾な質問をされた応募者は、その会社に対してどのような感想を持つかということです。

「この会社は女性差別をしている」
「この会社は、子持ちの女性は歓迎していない」
「なんらかの事情があっても、会社は配慮してくれない」
「マタハラを受けるかも」

この短い質問ひとつで、これらのことが頭に浮かぶでしょう。

この店長さんの大きな勘違いは、採用面接は、会社が応募者を選ぶ場だと思っているということです。
もちろん、それ自体は間違いではありませんが、それ「だけ」だと思うと大間違いです。

面接を受けている応募者の側も、会社を選んでいるのです。

こういう質問をする会社が応募者から選ばれるかどうか、答は明らかでしょう。