セブン残業代未払い、70年代からか 12年以降4.9億円  :日本経済新聞

ここのところ、問題続きのセブンイレブンに、また大問題が発覚しました。

当初、「残業代の計算が間違っていた」という報道だったので、「手当の不算入かな」と予想していたところ、上記日本経済新聞の記事に掲載された表を見ると、そのとおりでした。
給与計算と労働法について知っていれば当然予想できることです。

給与計算についての実務セミナーで、間違いやすいポイントとして必ずお話するのが、残業代を計算するときの残業単価にどの手当を入れ、どの手当は入れなくてよいかということです。

まず残業代計算の方法をお話しましょう。

A. 対象となる従業員の給与の1時間単位(=残業単価)の金額を出す。

B. 残業した時間数を計算して、Aで出した残業単価にかける。

C. 残業割増率をBで出した金額にかける。

今回のセブンイレブンの例では、この A と C が間違っていたということですね。

A の残業単価の算出で「給与」という言葉を使っていますが、通常給与全額ではありません。
計算するときに入れなくてよい手当があります。
どの手当を入れなくてよいかは法律で決まっており、会社が勝手に決めることはできません。

残業単価の計算のときに入れなくてよい手当は、次の7つです。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

ここに並べられた手当以外のものは、すべて計算のときに除外してはいけません。
まず、ここがだいじなポイントです。
「精勤手当」「職責手当」は上のリストに入っていませんので、残業単価を計算するときに、参入する必要がありましたが、それをしなかったので、残業代が安く出てしまっていたわけです。

もうひとつ、だいじなポイントがあります。
それは、手当の名前ではなく、内容を見て判断する。そして、判断のために一定の基準があるということです。

今回のセブンイレブンの事例とは違いますが、多くの会社で間違っているのがここですね。

たとえば「通勤手当」がこのリストにありますが、通勤手当や交通費等であれば、すべて除外できるわけではありません。

実際に通勤にかかる交通費を支給している会社が多いのですが、これについては、参入しなくて構いません。
ただ、徒歩通勤や自転車通勤の場合、距離に関わらずいくら、としている場合は、残業単価を計算するときに除外することができません。

そのほかの手当も、すべてこのように基準があります。

また、B の残業時間数の計算、C の割増率についても、注意すべきポイントがありますが、とても書ききれません。

さらに、現在、このような残業代の未払いがみつかった場合、時効は2年ですので、法律通りですと2年までさかのぼって払うことになりますが、厚労省ではこの時効を3年に延長する検討をしています。

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