「ビジネスライク」という言葉は、一般には「事務的、能率的」という意味ですが、「感情がこもっていない」という意味で使われることもありますね。
それほど、ビジネスの上で感情的になることはタブーとされています。
でも、人間は感情の動物です。
わたしたちは一日の大半を仕事をして過ごしているのですから、その中で「感情的になってはいけない」と言っても、かなり無理があることも確かです。
喜びの感情を表すことはそれほど問題がないでしょう。また、悲しみ、落胆などの感情も、場面によっては必要なときもあります。
感情の中でも、いちばんタブーなのは、やはり「怒り」です。
でも、怒りほど、コントロールしにくい感情はありません。感情的になって思わぬ失敗をしてしまう、というときの「感情」は、たいていが「怒り」なのです。
仕事中に怒りの感情にとらわれ、われを忘れそうになったときにどうするか。
対処の方法はいろいろありますが、ひとつ効果的なのは、その場をはずす、ということです。
お手洗いに立つ、飲み物を持ってくる、電話連絡しなければならない要件を忘れていた、など、口実を作って、とにかくその場から別の場所に移動します。
もちろん、ウソでいいのです。わざとらしくても構いません。
逆に相手に「あなたがその場をはずそうとしている」と伝わるほうが、あなたが感情的になっていること、そして、その感情を抑えようとしていること、が伝わる可能性があります。
もっとも、それが伝わったからといって、相手に好意的に迎えられるとは限りません。あなたがムッとしているとき、相手も同じような感情にとらわれている場合が多いですよね。「言いたいことがあったのに逃げられてしまった」と、よけいに相手の感情を逆なでする場合もあります。
ですから、いったんはずして、深呼吸するなり、なにか飲むなり、数を数えるなりして、短時間で戻ってこなくてはなりません。
相手も落ち着いているようであれば、素知らぬ顔で用件に戻るという手もあります。
でも、また同じようなことをくりかえしたくないのであれば、あなたの感情を自分の言葉で伝えるほうがベターな場合も多いものです。
「感情的になる」のではなく、「言葉で感情を伝える」のです。
でもここは、ビジネスの場。言葉も当然ビジネス向きの言葉があります。
「ムカつく」が NG なのは当然として、「腹がたちました」も、相手がお客様や目上だったりしたら、あまり適当ではないですね。
- 「心外です」
- 「残念です」
- 「悲しいです」
- 「くやしいです」
- 「不本意です」
- 「思いもよらないことです」
- 「こちらの真意ではありません」
など、いろいろな言い方があります。
自分でピッタリ来る言葉があれば、こっそり心のなかに書き留めておきましょう。
なかなか難しいことではありますが、自分の感情をぶつけるのではなく、うまく伝えられる、ということも、ビジネスパーソンの素養のひとつかもしれません。