地元のラジオ局を聞いていると、イベントの主催者にインタビューする企画がよくあります。その中で、いつも気になるのは、こんな質問です。

「このイベントに来た方は、みなさん、喜んでおられますよね?」

こう聞かれると、相手は

「そうですね。みなさん、喜んでおられます」

と、自動的に答えてしまいます。

話上手な人だと、そこから自分なりの言葉で、どのように喜んでいるのか描写してくれるのですが、あまり話慣れていない人は、そこで会話がとぎれてしまうこともしばしば。

聞くたびに、なんだかもったいないなーと思います。

質問にはふたつの種類があります。

はい、いいえ で答えられる「閉じた質問(クローズド クエスチョン)」と、回答が限定されない「開かれた質問(オープン クエスチョン)」です。

この場合は、どちらが向いているでしょうか。

たとえば、

「このイベントに来た方たちは、どんなようすでしたか?」(=開かれた質問)

と尋ねると、もっと具体的に、そして、実際にそのイベントを主催し、実行している人の実感のこもった言葉で、内容が聞けるのではないでしょうか。

あなたなら、イベントのようすを聞きたいときは、どんなふうに聞くでしょうか?

「楽しいイベントでしたか?」(=閉じた質問)

と尋ねたのでは、「楽しかったかどうか」というあなたが設定した枠から外には話が出にくくなります。

「イベントは、どんな感じでした?」(=開かれた質問)

という質問であれば、尋ねるあなたが思いもよらないような答えが返ってくるかもしれません。そして、そのほうがたぶん、実のある会話になるでしょう。

もっとも、ラジオにはいろいろ制約があり、打ち合わせの中で聞いた内容を、脱線しないように時間内に納めなければなりません。そのために、素人さんにしゃべらせるより、インタビュアーが簡潔にまとめたほうがよい、という考えから「閉じた質問」を使っているのかもしれません。

「閉じた質問」の主導権は、聞く側にあります。

話が脇道にそれないようにし、内容を確認し、共有するためには、向いている方法です。

それに対して、「開かれた質問」の主導権は、答える側にあります。

ですから、話がどんどんそれていく可能性もあるにしろ、内容を掘り下げて深めたり、広げていくのに向いた方法です。

どちらを使ったからいい、悪い、というわけではなく、それぞれの質問にどのような効果があるか頭に入れて、それぞれ合った場所で使えるようにすると、「聞き上手」と言われるようになるでしょう。