ビジネスマナーの中でも、あいさつは基本です。
ことば、笑顔、おじぎの角度。
一通り覚えておいて損はありません。
ビジネスマナーは、相手への尊敬や尊重を表す方法ですが、最初は「型」から入るのがやりやすいですね。

ビジネスパーソンであれば、お客様や社外の人に対しては、きちんとあいさつできるのがふつうです。
マナー云々の前に、当然の行動ですね。

社内であいさつしてますか?

ところが、なぜか社内ではあいさつしない人がいます。

「おはようございます」
「いってらっしゃい」
「おかえりなさい」
「おつかれさまです」
「お先に失礼します」

あなたは、いつも会社でこのような言葉を気軽に口に出しているでしょうか。

若い方、キャリアの浅い方は、自然に毎日言っているでしょう。
しかし、これを読んでいるあなたが、中高年、そして管理職だったらどうでしょうか。

意識して自分からあいさつをしている人もいますが、部下からあいさつされてあいさつを返す、うなづく、という行動をとっている方が多いのではないでしょうか。

あいさつは目下からするもの?

自分からあいさつしないという管理職は、「あいさつは目下(部下)からするものだ」という「常識」を持っています。
それがマナーだ、と思っているわけですね。

確かに、以前はそのような常識がありました。
しかし、ビジネスマナー研修や、ハラスメント防止研修では、それは「古い常識」「古いマナー」であり、現在はかえって有害なものになっている、とお話しています。

ビジネスマナーは、マナーだから守るというのが目的ではありません。
最初に書いたように、相手への尊敬や尊重の気持ちを表すためにやっているわけです。
自分は管理職で目上なのだから、部下を尊重していることを示さなくてよいのでしょうか?

あいさつは、とくに、相手との距離を縮め、したほうもされたほうもすがすがしい気分になる、というすばらしい効果があります。
2~3秒のひとことでそんな効果があるのですから、タイパとしては最高です。
これをやらない手はありません。

自分からあいさつをしない人は、目上だとか目下だとか、古い考えにこだわって、部下との信頼関係を築く絶好のチャンスを捨てているわけですね。

あいさつをしないことでパワハラになる可能性も

あいさつは目下からする、という考えは、さらに大きな問題があります。

部下があいさつしてこなかったら、あいさつしなくていいのでしょうか。

もっとひどい場合は、部下があいさつしても無視する、という行動につながってしまいます。
自分ではうなづく、会釈する等しているつもりだが、相手に伝わっておらず、「あいさつしても無視された」と思われている場合があるのです。

「あいさつしても無視される」というのは、大きなストレスになります。
当然、相手に対して不愉快な気持ち、憎しみの気持ちも湧いてきます。
上司と部下の信頼関係など育ちようもありません。

「あいさつされても無視する」という行動は、パワハラ上司と思われる元になります。
その行動単独でパワハラ認定されることはあまりないと思いますが、そういうことを平気でするような上司は、得てして他の場面でも、部下の人格を侮辱するような発言をしてしまうものです。
部下から会社に相談があり、パワハラ行為のひとつとして「あいさつしない。あいさつされても無視する」というのが認められる可能性は十分あります。

時代によってマナーは変わる

管理職としての権威は、部下に先にあいさつさせ、鷹揚にうなづく、という行動で示すものではありません。

日頃から部下のがんばりを認め、困っているときは相談にのり、いままでの経験と人間力で部下をサポートする、そんな行動が「この上司は頼りになる」という感情につながります。
それこそが、管理職のもつべき「権威」です。

あいさつは先手必勝。
相手と目があったらまずあいさつ。
笑顔があれば、なおよし。
あいさつに一言添えれば、コミュニケーションが深まります。

これが新しい常識であり、新しいビジネスマナーです。
古いマナーにとらわれず、ブラッシュアップしていきましょう。

当事務所では、楽しく学び、仕事への自信につながる、そしてコミュニケーションがよくなるビジネスマナー研修を実施しています。
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