「ほめる」と「認める」

部下を育成するには、まずほめること、とよく言われます。

でも、これが案外難しい。

ひとりの部下をほめると、ほかの部下がおもしろくない。

ほめようと思っても、こちらの期待する水準の仕事をしてくれなくてどこをほめたらいいのかわからない。

子供じゃあるまいし、わざとらしくほめたりしたら、かえって気分を害するのではないか。

いろいろ考えてしまいますね。

ここで、ひとつ発想を転換してみましょう。

「ほめる」のではなく、「認める」。
部下が成果を出した時、頑張った時、まじめにコツコツやっている時。その事実を指摘してあげるだけでいいのです。

「○○さんは、いつも朝のあいさつが元気で明るいね」

「この資料、工夫してあってわかりやすいね」

「きょうは、客先訪問の件数、いつもより多かったね」

「○○さんは、電話の応対が、てきぱきしているね」

「○○の件では、後輩のフォローをちゃんとしていたね」

「すごい」「えらい」「すばらしい」「よくやった」など、ほめる言葉はなにも入っていません。ただ、事実を述べただけです。これなら、しらじらしくなりませんね。

でも、上司にこのように言われたら、部下はうれしく感じるはずです。

「あなたのことをよく見ていて、やっていることを認めているよ」というメッセージを伝えましょう。結果だけではなく、プロセスを認めることにもなります。

もちろん、それにはまず、部下を「よく見る」ことが必要です。

「ほめるようなところがない」と思うのは、「ほめるようなところを見つけてない」ということなのです。

 


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