穴を掘れ!

管理職研修やセミナーの中で、ときどきこんなたとえ話をします。

スコップを渡されて、
「はい、ここに穴を掘って下さい」
と言われたとします。

もうひとつの指示は、
「1メートルまで掘ったら教えて下さい」
と、いうものです。

あなたはいっしょうけんめい穴を掘り、1メートルになりました。
指示通り報告すると、指示した人は穴のなかをちらっと見て
「はい、わかりました。埋め戻して下さい」
埋め戻すと、今度は別の場所を指さして、また同じことが繰り返されます。
これが毎日。これがあなたの仕事だとしたら・・・

「むなしい」
「腹が立つ」
「やる気がでない」

感想を伺うと、こんな言葉が出てきます。
仕事というより、刑罰という感じですね。

そして、別の指示者は、あなたにこんな指示をします。

「このあたりの地下1メートルに、貴重な遺物が埋まっています。
ただ、くわしい場所がわからないので、細かくくぎって、しらみつぶしに掘って調べなければなりません。
このあたりは地盤に問題があり、重機を入れられないので、人力で掘らなければなりません。
計画表をお渡ししますので、それに従って、遺物が出るまで、区画ごとに掘って確認して下さい。
何日もかかるたいへんな仕事ですが、あなたなら粘り強くやってくれると信じています。おまかせしますよ。」

実際に行う仕事は、最初の穴掘りとまったく同じです。

どちらが、やる気が出るかは、いうまでもないですね。
やる気の問題だけではなく、仕事の意味もわからずやらされていると疲れ方がまったく違います。

あなたの、部下に対する指示のしかたは、はじめの指示者のようになっていないでしょうか。

「こまかく指示するのがめんどう」
「自分がよくわかっているから、部下は手足になっていればよい」
という考え方になっていないでしょうか。

指示される部下にすると、やる気が出ない、ストレスがたまる、指示する上司を信頼できなくなる、という結果になります。

上司の指示のしかたで、部署全体のパフォーマンスが違ってくるのです。