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質問がハラスメントになることも

「早く結婚しろ」「子供を産め」ということばが、セクハラ行為のひとつとして認定されることがあります。判例については、ご紹介しました。

セクハラとは、受けた側が不本意に思う性的な言動のことですが、よく耳にするのは「質問」でいやな思いをする、ということです。

「まだ独身なんですか?」
「なんで結婚しないの?」
「お子さんはまだ?」
「どうして子供を作らないの?」
「顔色悪いけど、きょうアレ(生理)?」

聞いている方は軽い気持ちかもしれませんが、このような質問でうんざりしたり心が傷ついたり、という話はたびたび聞きます。

質問自体がハラスメントになる場合もあるのです。

同性間でもセクハラになる

また、このような質問は、同性同士、女性から男性へのセクハラになりやすいことも特徴です。

職場のハラスメント研究所(東京都文京区)の金子雅臣所長(70)によると、同性間のセクハラ事例として、上司が部下を無理に風俗に誘う▽宴会で裸踊りをさせる▽男女関係を詮索する▽独身を気にしている同性に結婚しない理由をしつこく尋ねる▽男女関係がだらしないなど性的なうわさを流す-などを挙げる。(強調は引用者)

中日新聞:「性別役割」解消求める セクハラの新指針:暮らし(CHUNICHI Web)

上の記事では、「同性間」となっていますが、「詮索」や「しつこく尋ねる」というのは、女性が男性に対して行っても、同じことなのです。

プライベートなことも把握しておきたい理由

たとえば、子供の進学問題で悩んでいるときに、仕事でもミスをしてしまい、会社に損害を与えてしまった・・・など、悪いことは重なりがちなものです。

個人的なこと、仕事のこと、それぞれ別の時期に起こった問題であれば耐えられることでも、両方同時に強いストレスがかかるできごとが起こってしまうと、メンタル不調に陥る可能性があります。

管理職向けのメンタルヘルスの研修を行うときは、「家庭のこと、個人的なことも、メンタルへの影響が大きいので、管理職としては、引っ越し、結婚、離婚、子供の独立などの大きなできごとは把握するようにしておいてください」と言っています。

しかし、住所や姓の変更、扶養家族の増減など、会社に届け出る必要のあること以外は、本人が言わなければわからないこともあります。

部下が離婚した、というウワサを聞いて、「このごろ元気ないけど、夫婦仲はどう?」と聞けるかどうか、というと、そんなデリカシーのない質問はできない、と感じる人が多いことでしょう。

また、介護の必要のある家族がいることなどを会社に言うと、昇進が遅れるのではないか、などの理由から、なるべく言わないでおきたい、という考えの部下もいるかもしれません。

業務上必要であるとはっきりさせる

セクハラになるような質問は、基本的には仕事とは関係なく、個人の興味や性的関心を満たすためのものです。

であれば、まずは、自分が聞きたい内容は、上司や同僚として、業務上知っておいたほうがよいことだろうか? という点を自分自身で考えてみることが必要です。

個人的な興味ではなく、相手への心配や配慮、業務への影響から聞いてよいと自分で思っても、相手に伝わらなければ、やはりセクハラととらえられる可能性もあります。

ですから、その点をまず伝えてから聞いてみましょう。

「上司として、プライベートでストレスがかかっている人には、仕事でさらに大きなストレスをかけないよう配慮しなさい、と、研修で言われたんだよ(or 本で読んだんだ)。個人的な興味ではなくて、仕事のために聞くので、悪くとらないでほしい」という言い方もいいかもしれませんね。

「話したくない」と言われたら

「それは別に仕事と関係ないので、話したくありません」

と拒否されることもあるかもしれません。

その場合は無理押しせず、「なにか困ったことがあれば、よかったら話してみて」というふうに、いつでもドアは開いていることを示す気遣いがあるといいですね。

逆に、部下の側もイヤなことはイヤとはっきり言える間柄であれば、ハラスメントの問題は起こりにくいのです。

質問をどのようにするか、ということ以前に、プライベートなことでも雑談で気楽に話せるような信頼関係を築いておくことが重要です。
 

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