会話のあいづちで、こんなふうにいう人を、よく見かけます。
「うん、わかるわかる~」
「わかります~」
おそらく、「わたしもそう思います」という共感をあらわすために使っているだけで、それほど深い意味はないのでしょう。

ちょっとした会話だったら、とくになんとも思わないでしょうし、「わたしの気持ちわかってくれたんだ!」とうれしくなるかもしれません。

一方で「わたしの気持ちがわかるわけないでしょ!」「簡単に言うな」と反発を感じることもあるでしょう。

結局のところ、「わかる」というのは、「わたしも似た体験があり、あなたの気持ちは想像がつく」ということでしかありません。
ポイントは、あくまでも、自分の側の想像だということです。

想像ですから、あたっているかもしれないし、実はぜんぜん違うかもしれない。
そこはだれにもわかりません。

先程書いたように、「わかる」ということが、相手への強い支持を表し、言われた方もうれしく思う、こういう場合もよくあります。
ですから、「わかる」と簡単に言うな、と言っているのではありません。

「わかる」と言ってるけど、ほんとはこれ自分の感情よね。相手の感情とは別物よね、という距離感を自分の中に持っていたほうがいい、ということです。
それがあれば、「わかる」と思っても、単純のそのような言葉ではなく、別の言葉を選ぶでしょうし、その慎重さは、話の内容を大切に扱っている、というふうに話し手に伝わることが多いでしょう。

ふつうの会話であれば、「わたしもこういうことがあって~」とつながっていくこともよくあります。

でも、ここでもちょっと注意が必要です。

相手は、自分の感情について、十分に語ったのでしょうか。
話の途中の、なんらかのキーワードに反応して、相手の話が途中なのに、自分語りを始めていませんか?

聞き上手と言われている人の聞き方を観察していると、ふたつの大きな特徴があります。

  • 相手の考えに共感はするけれど、自分も同じだと同一視しない。
  • 相手に十分話してもらうことを優先し、途中で話をとらない。

このふたつを意識するだけで、聞き上手になれるでしょう。

「わかるわかる~」と思ったら、そのまま口に出す前に、ちょっと思い出してみて下さい。