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セミナーの仕事で行った新潟でいただいた「のっぺ」

「新型うつ」という言葉が、マスコミをにぎわせるようになって、ずいぶんたちます。

この言葉自体は、医学用語ではなく、マスコミによる造語です。

「自分はだめなやつだ」「自分なんて死んだほうがましだ」となってしまう、いわゆる「従来型うつ」に対して、「新型うつ」の人は「他罰的」であると言われます。

自分が仕事ができないのは、上司の指導が悪いせいである、とするなど、まわりに責任をかぶせようとする、ということですね。

自分は悪くない。周りがすべて悪いんだ。

「新型うつ」と言われる人たちのこのような態度は、膝を抱えて悩み苦しんでいるような、従来のうつ病のイメージとはまったく異質です。

一見、自信過剰とも思える強い態度ですが、その内実は「強さ」とは程遠いところにあります。

健全な自尊心持っている人は、批判されたり、強い態度で指導されても、不必要にへこむことはありません。

両足をしっかり地面に置き、バランスよく立っている人は、ちょっと押されても、簡単に転んだりしないというイメージですね。

ちょっとした批判でも、全人格が否定されたように過敏に反応するのは、自分自身の足元がぐらぐらしているので、少し押されただけで、転んでしまうような状態なのです。

自己肯定感の低さ。健全な自尊心が育っていないこと。

実はこれらが、「新型うつ」と言われるメンタル不全の背景にあります。

では、自己肯定感を高め、健全な自尊心を育てるにはどうしたらよいのでしょうか。

「認める」
「ほめる」

これが、その方法です。自分への評価は、他人の自分への態度からもたらされるものなのです。

でも、上司や同僚にも感情がありますから、攻撃的でなまけているように見える人に対して、そのように寛大に振る舞えないことが多いでしょう。

「わたしをこんなに困らせているのに、さらに『認める』『ほめる』なんて冗談じゃない」と思ってしまうのですね。

職場は病気を治療するところではないのですから、それも当然の考え方です。

ただ、入社してきた新人を指導して、一人前にする。これも職場の機能の一つです。

その機能を果たすにはどのようにしたらよいのか。

指導する上司の側に、そのように頭を切り替えてもらう以外ありません。

病気に注目するのではなく、「課題を解決するためにはどうしたらよいか」という思考方法をとるのです。

もちろん、悪い点を注意せず、はれものに触れるように扱え、ということではありません。

できていない部分は指導するかたわら、できている部分はささいなことでも、言葉にするようにしましょう、ということです。

これが、「新型うつ」と言われる人たちへの、ひとつの対処法です。