講師初心者が陥りやすい誤りのひとつに、「過剰に謙遜してしまう」ことがあります。
「お役に立てるかわかりませんが」
「わたしなんかの話で恐縮ですが」
「まだ勉強中ですが」
こんな感じです。

謙譲は美徳かもしれませんが、人前で話すときにこれはだめです。

たとえ無料であっても、大切な時間を使ってあなたの話を聞きに来ている人たちに対しては、「自分はこの話をする資格がある」ということを納得してもらい、話の内容に信頼性を感じてもらわなくてはなりません。
それでこそ、内容が耳に入ってくるだけでなく、腹落ちするのです。
「わたしなんか」という言葉で、そのような信頼性をぶちこわし、ひいては相手の時間をムダにさせていることになります。

だれもが認める第一人者や大先生であれば、謙遜しても「奥ゆかしいお人柄」と思われるだけで、だれもその信頼性を疑わないので、謙遜するのはエラい先生になってからにしてください。

たとえ自信がなくても、自信ありげにふるまうのが、聞いてくれている人のためです。

自信のない人の最大の問題点

自信がない人には、もっと大きな問題点があります。

それは、行動しないことです。

インプットばかりでアウトプットをしようとしない、と言い換えてもいいですね。

「もう少し勉強してから」「もう少し経験を積んでから」等の言葉を聞くと、「いったいあなたが十分勉強したと思える日はいつ来るの?」と思ってしまいます。

長い時間とお金をかけて勉強しておいて、それを使わずに言い訳ばかりしているのでは、成長はありません。
やる気がないのならそれはそれでいいのですが、こういうタイプの人はやる気はあります。
自信がないだけです。
ほんとうにもったいないなぁと思います。

自信がありすぎる人の問題点

一方で、ちょっとなにか身につけると、人にご披露したくてしかたがないタイプの人もいます。

生かじりの知識で、いっぱしのような顔をして[1]個人事業主の場合はイメージ戦略もあるので、そういうやり方もあります。、高額なサービスを売ったりしている人を見ると、正直、「よくやるなぁ」と思います。

自信過剰や自信ありげにふるまうのはいいのですが、質の低いサービスや商品で、他人に被害を与えてしまうことがあるのです。

とくに、心理カウンセリングや相談対応の世界では、勉強の足りない相談員にひっかかってしまい、心を傷つけられた、という被害をよく耳にします。
生兵法で自分がケガをするのはしかたない部分がありますが、なまくら刀を振り回して、他人にケガさせてしまうのは、見ていて心が痛みます。

あなたの部下ならどちらがいいですか?

さて、筆者は自分自身が個人事業主ですので、周りにもそういう人が多く、これまで書いたような例をたくさん見ていますが、これが、会社の中でのことで、あなたの部下の話だったらどうでしょうか。

部下にもつのなら、自信がありすぎる人、なさすぎる人、どちらがいいですか?

自信のなさすぎる部下は、実力はあるのだから、行動させればいいだけ、と思うかもしれませんね。
上司が強制的にでも行動させていけば、自然と自信が身につき、実力を発揮できるようになるかもしれません。

このような場合、上司の仕事は、部下を勇気づけ、部下自身が持っているよいところや実力に気づいてもらうことになります。

自信がないタイプは、大きな失敗をする心配がなく、安心して見ていられますが、自信過剰なタイプは、なにをしでかすか、ヒヤヒヤしてしまいますね。

自信がありすぎる部下に対しては、失敗しないように、または失敗したときにフォローする、上司として責任をとることが上司の仕事になります。

個人としての好き嫌いはあるかもしれませんが、このように考えておけば、部下の特性に合った、指導・育成をすることができます。

部下の挑戦を応援しよう

好き嫌いではなく、業績を上げるのはどちらの部下でしょうか。

結論から申し上げると、結果を出すのは間違いなく「自信がありすぎる人」です。
理由は簡単で、「行動するから」、「挑戦するから」です。

問題があるとすると、自信過剰で調子がいい部下をもった上司は、「小面憎い」、「鼻っ柱をへし折るべき」と考えてしまう場合があることです。

といっても、そのように意識的に考えているわけではなく、たいていは「自分勝手でチームとしての行動ができない」、「組織風土に合わない」等の理由で、部下の行動や挑戦を阻止しようとします。

実のところは、部下の失敗が自分の失点になってしまうのがいやだ、上司として責任を取りたくないということかもしれません。

前例通りにやっていれば仕事が回っていた時代であればそれでいいのですが、この不確定な時代、正解がわからない時代に、行動や挑戦を留めていては、組織としての将来は暗くなります。

たとえ最初は自信過剰であっても、行動していくうちに、実力がついて、自信に見合った内実ができてくるものです。
自信過剰は問題ないのです。

部下の挑戦を応援する上司になろう、と思ったら、このようなことも考えてみてくださいね。

Footnotes

Footnotes
1 個人事業主の場合はイメージ戦略もあるので、そういうやり方もあります。