今年4月から改正された雇用保険法の内容については、特定受給資格者の範囲の拡大について、すでにご説明しましたが、きょうは育児休業したときにもらえる給付がアップしたことについて、ご説明しましょう。

育児休業給付の給付率が50%から67%にアップ

今年の3月31日までは、育児休業をとって職業安定所に手続きをすると、それまでもらっていたお給料の50%がもらえるという制度になっていました。これを育児休業給付といいます。

この育児休業給付が、この4月から、もらいはじめた当初6ヶ月間に限り、50%から67%にアップしました。

注意していただきたいのは、67%がもらえるのは、「育児休業を始めてから6か月」ではなく、「もらいはじめてから6か月」であるという点です。

夫婦別々に1歳2ヶ月までもらえる

しかも、「もらいはじめてから」というのは、生まれたお子さんひとりについて、ではありません。

お母さんがもらいはじめてから6か月、お父さんがもらいはじめてから6か月、それぞれもらえる率がアップします。

また、ひとりのお子さんについて、お母さんだけでなくお父さんも育休をとった場合、本来1歳になるまでしかもらえないところを、1歳2か月までもらえるという制度(パパ・ママ育休プラス)があります。

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上の図は、職業安定分科会雇用保険部会審議会資料(平成26年3月28日)の資料から引用したものです。画像をクリックすると大きくなります。

産前6週、産後8週の間は、お母さんについては職場で加入している健康保険から出産手当金が支給されます。これは、もとのお給料の3分の2です。

お母さんが育児休業をもらいはじめるのは、出産手当金が終わってからなので、生まれてから8週後ということになります。ここからスタートして6か月間、67%もらえるというわけです。

母と父の育児休業期間は重なっていてもかまわない

図を見ていただければわかるように、母と父の育児休業期間が一部重なっています。このように、ふたりで同時に育児休業をとっても構わないのです。

同時に育休をとっている間に、お母さんからお父さんに赤ちゃんの世話する方法をしっかり教える、つまり、引継ぎをした後にお母さんが職場復帰できるので、その後お父さんだけで赤ちゃんのめんどうをみることになっても、安心ですね。

お父さんのほうの育児休業給付も、もらいはじめてから6か月間は67%ですので、6か月以上の育休をとると、夫婦でフルにもらうことができます。

父の育休期間は分割できる

また、この図では、父の育休はまとめてとるようになっていますが、産後8週の間いったん育休をとり、その後仕事に復帰して、また1歳2か月までの間に残りの期間をとることができます。

産後の疲れがまだ抜けず、なるべく安静にしたい8週の間、ほかに手伝ってくれる人のあてもない場合は、こういう取り方ができるのは、かなり使い勝手がいいのではないでしょうか。

この場合は、8週間プラス4か月の間が67%の給付率になり、その後1歳2か月までの間は50% となります。

産休期間・育休期間の税金と社会保険料は免除

お給料の67%、2/3 というと、それでは生活できない、と感じるのではないでしょうか。

でも、出産手当金も育児休業給付も、非課税です。

育児休業の期間中は社会保険料が免除になりますが、この4月から産休期間中も社会保険料が免除になることになりました。

税金と社会保険料なしだと、手取り金額は休業前に比べてそんなに大きくはダウンしないはずです。

これから子供を持つことを考えているカップルは、国の制度を賢く使って、出産育児という一大イベントを切り抜け、お互いのの職業生活が安定して送れるようにしたいものですね。
 

 

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