「ハイブリッド会議」とは耳慣れない言葉ですね。
確定した用語ではありませんが、一室に集まって行う通常の会議(リアル会議、オフライン会議)と、Web 経由のオンライン会議が組み合わさったもの、ということで、話をすすめます。
具体的にいうと、会議に参加するメンバーのうち、一部は会議室に集まり(リアル組と呼びます)、一部は自宅や営業所等からオンラインで参加する(オンライン組と呼びます)、というイメージです。
テレワークが日常になるにつれて、そのような場合が増えてきたのではないでしょうか。
自宅でテレワーク中の人や、遠く離れた支店・営業所にいる人も、無理なく会議に参加できる。
これは大きなメリットです。
しかし一方で、リアル組が会議のほんとうの参加者で、オンライン組はただその会議のようすを覗き見ているだけの傍観者になってしまう危険があります。
せっかく会議に参加しても、オンライン組は意見を表明することもままならず、疎外感だけを抱いてしまう、ということにもなりかねません。
このようなことにならないよう、気をつけたほうがよい点をまとめてみました。
A.リアル組とオンライン組の条件をそろえることができる場合
まず、A案は、「ひとり1台PC等が用意できる」ことが条件です。
リアル組の人数が比較的少なく、全員にPC等が用意できる場合は、オンライン組とリアル組の条件を、物理的にそろえてしまいましょう。
せっかく同じ場所にいるのに、なんでわざわざ? と思うかもしれませんが、会議を実のあるものにするためには、よい方法です。
この場合は、全員がオンライン組になるわけで、一般的な Web 会議のやり方になります。
全員別々の部屋(車中)で行う
リアル組が数名の場合は、会社の中の別々の部屋から、全員が別々に Web 会議システムに接続すると、スムースです。
そんなに場所がない?
そういう場合は「自動車の中」という場所があります。
都会の会社では難しいかもしれませんが、地方は自動車通勤が基本で、社用車が多数ある企業もたくさんあるはず。
昼間なら明るく、周りに人がいないので集中できます。
ハンドルに固定する簡易テーブル等も売られていますね。
自宅で落ち着いて Web 会議に参加できないオンライン組にも有効な方法です。
なるべく離れて座りヘッドセットを使う
どうしても場所が確保できない場合は、ひとつの会議室に集まってやるという方法があります。
この場合は、全員にヘッドセットが必要です。
しかしそれでも、お互いの距離をとって座らないと、ハウリングやエコーが起こることがあります。
そのような音声の問題が起こらなければ、ソーシャルディスタンスもとれる方法です。
B.リアル組は会議室に集まり、オンライン組はそれぞれ Web 会議システムに接続する場合
次に B案。こちらが、当初説明したハイブリッド会議ですね。
リアル組は、接続するパソコンは1台にして、会議用のスピーカーマイクを使用します。
この場合、ノートパソコンのカメラでは不向きで、外付けの Web カメラを使い、三脚を立てて1台で全員写すようにします。
ここでは、ふたつの大きなポイントがあります。
1.ルールを決める
リアル組だけでの会話を禁止
リアル組は、オンライン組の存在を忘れがちです。
自分たちだけでひそひそ・・・これはとても感じが悪いですね。
会議中の私語、とくにリアル組だけのひそひそ話は最初から禁止にします。
発言するときはなのってから
Web カメラが1台の場合、画面越しでは、だれが話しているのかわかりにくいものです。
そのため、発言するときには、必ず自分の名前を言うようにします。
いちいちめんどうなようですが、慣れてくれば、それほど気にならなくなります。
だれかに話しかけるときは、名前を呼ぶ
前の項目と似ていますが、オンライン組には、視線の動きはわかりません。
通常ならば、その人のほうを向いて話せば呼びかけているのはわかりますが、これも、「わからない」という前提で、「◯◯さんにお伺いします」「これは、全員の方に聞きたいのですが・・・」と前置きするようにしましょう。
2.オンライン組の存在感を高める
なるべく大きなディスプレイやプロジェクタを使う
リアル組の全員から、オンライン組の顔がはっきりわかるよう、プロジェクタや、大画面のディスプレイを使いましょう。
ノートパソコンの小さい画面では、オンライン組の存在感が薄くなり、会議に参加していることを忘れられてしまいます。
司会・ファシリテーターは、オンライン組が発言できるよう配慮する
全員に発言を求めるとき、オンライン組を抜かさなようにするのはもちろんですね。
発言の順番にも注意が必要です。
リアル組が全員発言してからオンライン組、というようにすると、まるでつけたしのようになってしまいます。
ひとつの会議室にいると「あの人、なんとなく言いたいことありそう」というのは黙っていても伝わるものですが、オンラインではそれはわからない、ということを前提に、明示的に発言を求めましょう。
なんだ、こんなにめんどうなら、やっぱり一堂に会して会議するのがいちばんだよね、と思ったあなた。
便利なものを使うには、手順もあり、使い方を覚える必要もあるのがふつうです。
ハイブリッド会議という新しいやり方も同じです。
交通費も、時間も節約でき、距離や場所の制約なくだれでも会議に参加できる。
この利点を考えれば、やり方を覚えるのは、それほどたいへんではありません。
ぜひ、全員が闊達に発言できる会議をめざしてください。