研修やセミナーでは、「話をきちんと聴く」ことの大切さを、繰り返しお伝えしています。
「そんなこと言ったって、聞いてなくてもひとりでいくらでもしゃべってるのに、しっかり聞いたりしたら、話が長くて終わらないよ!」
と思う相手が、あなたのまわりにいるかもしれません。
話の長い人。
会議などでも、ひとりで延々としゃべり続けてほかの人が話す時間を奪ってしまう人。
そういう人に限って、話をさえぎりたくても、だらだらとつながっていて、途中で口をはさむこともできなかったりします。
無理やりさえぎると、相手が気を悪くしそうで、さえぎれない。
そういう場合は、どのようにしたらよいのでしょうか。
いちばん相手をムッとさせてしまうのは、
「そうではなくて・・・」「ちょっと違うんじゃないですか?」と否定しながらさえぎってしまうことです。
たとえ、内心そう思っていても、否定から入るのはやめましょう。「否定された」と思うと、それをくつがえそうと相手もやっきになり、なおさら話が長くなります。
相手の気を悪くさせずに話をさえぎるには、ちょっとコツがあります。
まずいきなり言葉で「ちょっと待って下さい」と、言うのではなく、その前に「わたしも話したい」と動作で示しておくのです。
具体的には、まばたきを多くする、相手をじっと見る、座っている姿勢を変える、そして、口を開いて何か言おうとする。
このあたりで、察しのいい人であれば、あなたも言いたいことがあるのに気づき、自分の話を止めてくれます。
そうではない場合は、まず「あの」と言いかけていったん途中でやめ、その後に「ちょっとよろしいですか?」と割って入ると、相手も「いきなりさえぎられた」と感じにくくなります。
なによりだいじなのは、さえぎった後、すぐに自分の話をはじめないことです。
まずは、
「途中でごめんなさい。ちょっと整理させてくださいね」
「いまのお話はこれこれこういうことだと思いますがよろしいですか?」
と、相手の話をまとめます。
そうすると、相手も「自分の話がちゃんと伝わっている」と安心して、あなたの話を聞く姿勢になれます。
「自分の話をちゃんと聴いてくれている」という安心感。実は、これが話の長い人対策に有効なのです。
性格的に回りくどい人もいるにはいますが、同じ話を何度もくりかえすのは、たいていは「自分の話がちゃんと伝わっていない」と無意識に感じている証拠です。
「いつもいつも話が長くてやんなっちゃうよ」
と思っていたのに、実はその原因は、「あー、またか」と思って、まともに聞こうとしていないあなたの側にあるのかもしれません。
うなづき、あいずち、アイコンタクトなどの、話を聴くときの姿勢が、やはりここでも問われてくるのです。