新年度や新学期が始まる4月から5月にかけて、新入社員の多くが「五月病」と呼ばれる心身の不調を経験します。
この記事では、五月病の症状、セルフケア方法、そして管理職としての部下へのサポート方法について解説します。
五月病とは? 代表的な症状について
五月病は、新しい環境への適応に伴うストレスによって引き起こされる心身の不調を指します。
主な症状には、こんなものがあります。
- 疲労感・倦怠感
- 不眠・睡眠リズムの乱れ
- 意欲低下・抑うつ気分
- 食欲不振・消化器症状
- イライラしたり、感情的になる
- 集中力の低下
これらの症状は一時的なものであり、個人差がありますが、適切な休養とストレス管理を心がけることで、徐々に改善されていくことが多いとされています。
五月病のセルフケア方法
なんだかこのごろしんどい…五月病かも? と思ったら、なるべく早めに以下のようなセルフケア方法を試してみましょう。
ひとつやってみてあまり効果がなくても、向き不向きがありますのでがっかりせずに、ほかのものにもチャレンジしてみてください。
これならできるな、と感じるものから取り組んでみましょう。
1. 規則正しい生活リズムの維持
適切な睡眠時間の確保、規則正しい食事と運動を心がけることで、心身の調子を整えることができます。
ふだんはつい夜ふかしをしてしまい、休みの日にはたっぷり朝寝をして「寝だめ」しようとしていませんか?
そのような習慣は睡眠リズムが崩れてしまうので逆効果です。
夜寝る時間を決めるのもいいですが、それよりも、朝起きる時間を一定に保つことが効果的です。
2. リラクゼーションの取り入れ
ストレッチ、ヨガ、瞑想、深呼吸などのリラクゼーション技法を取り入れ、心身の緊張を和らげましょう。
ヨガ等、専門家にレッスンを受ける方法もありますが、現在はたくさんの動画が Youtube にあがっています。
興味が持てる物を探してみましょう。
3. 適度な運動
軽い散歩やジョギングなどの有酸素運動は、ストレス解消と気分転換に効果的です。
とわかっていても、なかなか続けるのは難しいですね。
そのような場合は、仲間をつくって励まし合う(ネット友達でも可)、ポケモンGo やピクミンブルーム等の位置情報ゲームを利用することを考えてみましょう。
4. 趣味や楽しみの時間を持つ
自分の好きなことに没頭する時間を作ることで、ストレスから離れ、リフレッシュできます。
環境が変わり、以前より忙しくなると、趣味の時間は後回しになりがちです。
リフレッシュはよい仕事をするためにも大切、と考え、まず時間を確保するようにしてみましょう。
5. 社会的つながりの維持
友人や家族との交流を大切にし、悩みを共有したり、サポートを求めたりすることで、孤独感や不安を和らげることができます。
とくに、就職のために転居したり、一人暮らしを始めた方は、人との交流が以前よりも少なくなることが多いので、新しい環境でも趣味のサークルを見つけてみたり、職場の人と積極的に雑談してみたりしましょう。
ご家族と遠く離れてしまったときは、昨今では年配のご両親もビデオ通話ができることが多いので、たまには顔を見ながら話してみてはいかがでしょうか。
自分自身もほっとできますし、ご家族を喜ばせることもできるでしょう。
6. タスクの分割
4月の新年度を機会に、大きな目標を掲げ、がんばってみようとしたものの、ちょっと疲れてしまった、ということはないでしょうか。
フェードアウト気味であれば、ここで少し目標自体を見直してみましょう。
大きな課題や目標を小さなステップに分割し、一つずつ達成していくことで、挫折せずに継続することができます。
7. 専門家への相談
セルフケアだけでは改善が見られない場合、カウンセラーや医療専門家に相談することをためらわないようにしましょう。
カウンセリングは会社の費用で受けられる福利厚生として用意されていることも多く、お勤めの会社にそのような制度がないか、まず調べてみるのがいいですね。
管理職として五月病の部下をサポートする方法
4月からの新入社員、転職や異動してきた部下が、最初は張り切って働いていたものの、緊張の糸が切れたようになんだか元気がない、顔色がよくない、等に気づくことはないでしょうか。
そのようなとき、管理職としては適切にサポートして、部下の五月病が軽くすむようにしてあげたいですね。
以下のような方法が効果的です。
1. コミュニケーションの密接化
定期的な面談を行い、部下の悩みや不安を共有し、サポートする姿勢を示すことが重要です。
なかなか本音を話してくれない、悩んでいそうな感じなのに、自分には相談してくれない、と感じるときには、まず雑談が楽しくできる関係になるのが早道です。
自分自身は興味がなくても、部下の趣味に興味を示し、どのような点が楽しいのか聞いてみると、よいきっかけになりますよ。
2. 業務量や難易度の調整
このくらいはできると思った、または、人手不足でいたしかたなく、背伸びした仕事をまかせていないでしょうか。
時間外労働が長すぎないか点検し、定時に終わることが難しいようであれば、業務量や難易度を調整しましょう。
単に「この仕事はもうやらなくていいよ」と簡単に告げて、いままでやっていた仕事を外してしまうと、部下は「自分は役に立っていないのでは」「上司に見放された」と感じてショックを受けてしまうことがあるので、要注意です。
業務の調整の前に、本人とよく話し合い、状況と希望をうまくすりあわせることを考える必要があります。
3. 教育とフィードバックの提供
新入社員が業務に習熟できるよう、丁寧な指導とフィードバックを提供しましょう。
フィードバックは「ダメ出し」ではありません。
まず、部下の仕事ぶりを管理職自身の言葉で伝えることが大切です。
とくにこの1ヶ月で成長した部分を伝えてサポートしましょう。
その上で、さらに成長するためにはどのような教育が必要なのか、本人から話を聞くだけではなく、人事部門とも連携して、必要な教育研修をプランニングしてみてください。
4. チームでのサポート体制の整備
新入社員を孤立させないよう、チームメンバーによるサポート体制を整えましょう。
最近はメンター制度を取り入れる会社も多くありますが、メンターや先輩とうまくコミュニケーションできているか、このあたりで点検してみることも必要です。
上司ひとりで部下を支えようとするのではなく、他の先輩たちからも目をかけ、手をかけてもらうことで、先輩たちの成長にもつながります。
5. 社内リソースの活用促進
社内の相談窓口やメンタルヘルスサービスなど、入社してきたときに案内を受けていても、覚えなければならないことがたくさんあるので、埋もれてしまい、いざ使おうと思うとそのようなサービスがあることさえ忘れている、ということはよくあります。
新入社員が利用できるリソースを紹介しましょう。
筆者は企業のメンタル相談窓口を請け負っていますが、「上司から、相談してみたら?と勧められた」というきっかけを聞くことが多くあります。
上司が何もかも自分でやろうとするのではなく、適切な窓口につなぐことも大切な役割です。
6. ワークライフバランスの調整
部下が仕事と私生活のバランスを取れるよう、適切な勤務時間の管理を行いましょう。
会社での役割だけでなく、私生活でどのような役割を負っていて、そこで負担を感じていないか本人に確認し、ワークライフバランスについて一緒に考えるようにするのがよいでしょう。
状況に応じて、在宅勤務やフレックスタイム制の導入も検討しましょう。
五月病は新入社員にとって一時的な困難ですが、適切なセルフケアと周囲のサポートによって乗り越えることができます。
管理職は、部下一人ひとりの状況を把握し、組織全体で支えていく姿勢が求められます。
新入社員の成長と適応を促し、活躍できる環境を整えていきましょう。