あなたが課長・部長等の管理職であれば、自分がハラスメントの行為者(加害者)にならないように気をつけるのはもちろんですが、部下が行為者にならないように指導する役割も期待されています。

しかし、現実に部下のハラスメントと疑われるような行為を目撃したら、どのように対応すればよいのか、悩んでしまいますね。

そんなときの対応策をお伝えしましょう。

1.すぐに注意する

たとえば、セクハラで明らかに不適切に体に触れている行為や、パワハラでひどい暴言を言っていたりどなりつけている等、理由の如何を問わず、一目でまずいと感じたら、まず注意してください。
すぐに止めるのが、被害を小さくし、より深刻なハラスメントになるのを防ぐ方法です。

もうひとつ、被害者からすると、自分にハラスメントをしている人の上司が見かけたのであれば、当然助けてくれることを期待します。
行為者(加害者)の上司が居合わせたのに、「見て見ぬふりをされた」「(結果的に)行為者をかばった」と思われたら、あなたへの信頼だけでなく、会社自体への信頼が失われます。

ただ難しいのは、行為者(加害者)が、「恥をかかされた」と感じるような場合です。
明らかに不適切な行為であれば、注意されて当然なのですが、そのように逆恨みすることは十分考えられます。
そのような懸念からとっさに止められなかった場合、または、「これはハラスメントか?」と判断がつかず、声をかけるのをためらってしまった場合は、2に移ります。

また、明らかにハラスメントだという判断はできなくても、受けている側の不快さが想像できる場合は、決して行為者(加害者)に同調しないでください。
とくに、相手をからかっているような場面ですね。
いっしょになって笑ったりしてはいけません。
その場ですぐに注意できなくても、これだけは上司として最低限の行動です。

2.被害を受けていると思われる側に声をかける

その場で注意してもしなくても、ハラスメントと思われる行為を目撃したら、なるべく早く、被害を受けている人に声をかけましょう。

「だいじょうぶ?」という簡単なことばでいいのです。
すぐに対応することが大切です。

そのときに、どのように感じているのか、また、今回だけのことなのか今までも似たようなことがあったのか、聞き取りましょう。

3.相談先を示す、自分が会社に報告する

本人もハラスメントの被害を感じているようであれば、自分がいつでも相談にのること、また、他部署の従業員だった場合などは、適切な人や社内の相談窓口に相談するようにアドバイスするのがよいでしょう。

「ハラスメントの被害を相談したからといって、けっして職場に居づらくなったり、不利益な処分を受けることはない」と断言することも大切です。

本人が望む場合は、あなた自身が会社のしかるべき窓口に報告し、担当部署がハラスメント調査を行うよう図らうことも、ひとつの方法です。

そして、本人が担当部署への報告や、ハラスメントがあったかどうかの調査を望まない場合でも、あなた自身が目撃した内容に限って、担当部署または相談窓口に報告することは可能です。
被害を受けた人に、そのことを話し、担当部署から声がかかるということを言っておいてください。

被害がそれほど深刻でない場合には、被害者の気持ちを尊重して、報告するかどうか様子を見るという判断もありえます。
その場合は、そこで終わりにするのではなく、たびたび被害者に状況を確認するようにしましょう。

4.行為者(加害者)に事情を聞く

次に、ハラスメント行為をしたと思われる部下に事情を聞きます。
このときに大切なのは、プライバシーを保てる場所に移動し、一方的に注意するのではなく「事情を尋ねる」「困っていることがあれば支援する」という姿勢で臨むことです。

その上で、本人は気づいていなくてもハラスメントだと感じたら、きちんと注意するようにしてください。

あなた自身のハラスメントについての知識があいまいだと、ここではっきり注意することができません。
会社の研修には積極的に参加し、研修がない場合は書籍等から知識をブラッシュアップしておきましょう。

また、あなたが目撃したことに気づいていない場合は、注意するときに「だれかが言いつけたのではないか」という犯人探しをしないよう、念を押してください。
とくに、上司から話を聞かれたことで腹を立て、相手の人に報復すると、今回の行為はハラスメントかどうかわからなくても、懲戒対象になるということも言っておかなくてはなりません。

二次被害を出さないような配慮が必要です。

会社のハラスメント防止義務を実現するのは管理職であるあなた

会社には、安全配慮義務といって、従業員が心身ともに健康に仕事ができるよう配慮する義務があります。

管理職であるあなたが、ハラスメント行為を目撃したのにそのまま見逃してしまっては、会社は安全配慮義務を怠っていることになります。
また、被害を受けている側からすると、「だれも味方してくれない」と絶望的な気持ちになり、メンタル不調や体調不良になってしまうことも考えられます。

ハラスメントを防止する責任があるのは「会社(事業主)」であっても、具体的に行動するのは基本的に管理職だということを、しっかり頭に入れておきましょう。