介護休暇って知っていますか?
と、おたずねすると、「ああ、家族に介護が必要な人がいるとき、お休みがとれる制度ですね」という返事が返ってきます。

確かにこれは半分くらい正解なのですが、答えてくれた方の頭の中は「介護休業」であることが多いようです。

「休業」と「休暇」。とても紛らわしいですし、制度としても関連していますが、「介護休業」は知られていても、「介護休暇」はご存じない方がまだまだ多いようです。

法律的には「育児・介護休業法」というものに、育児関連の条文とセットで規定してあるので、育児に関する制度を見ると理解しやすいんですね。

「育児休業」と「介護休業」。いろいろ条件は違いますが、これは対応していて、育児や介護の必要のある労働者が、長期間のお休みをとる制度です。

そして、「介護休暇」は、「子の看護休暇」という制度と似ています。

「子の看護休暇」というのは、小学校入学前のお子さんを育てている労働者が、子供さんが病気の時や、健康診断、医者通いのために原則、1日単位で、年に5日までお休みできるというものです。

「介護休暇」も、家族に介護の必要のある人がいる労働者が、つきそいなどのために、原則1日単位で年5日まで休むことができる、というものです。

「休業」→長期の休み
「休暇」→1日単位などの短い休み
という使い分けがお分かりになったでしょうか。

また、「育児休業」「介護休業」には、条件を満たせば雇用保険から給付金が支給されますが、「子の看護休暇」「介護休暇」は無給の場合が多く、雇用保険からの給付はありません[1]両立支援助成金等、会社に対しての助成金は、一部あります。

この「介護休暇」は、2009年の育児介護休業法の改正で盛り込まれたものですが、2012年に従業員数100人以下の事業所にも全面適用になってから、もう10年がたとうとしています。

あとからできた制度なので、なじみがないのも無理はないのですが、「法律にあるからといって、うちみたいな小さい事務所には関係ない」というわけにはいかず、就業規則などに規定しなければなりません。

また、2021年1月から、「子の看護休暇」と「介護休暇」は1時間単位で取得できるようになりました。対象者も1⽇の所定労働時間が4時間以下の人は取得できないとなっていたのが、全員取得できるようにもなりました。この点についても、就業規則を変更し、従業員に周知する必要があります。

もちろん、ただ法律で決まっているから、ということだけでなく、40代50代の責任ある働き盛りの世代が、介護で退職してしまうのは会社にとって大きな損失です。

出産・育児、また、介護という、私的な部分で仕事にさしつかえが出た場合、会社の側もある程度の配慮をして、仕事を続けられるように工夫することが、双方にとってメリットが大きいわけです。

法律はその足元固め、というふうに考え、就業規則にまだ載っていなければ記載するようにして、社員にも知らせ(就業規則を社員に周知するのは会社の義務です)、「会社は社員が働き続けられるよう、配慮しています」ということを具体的に社員に伝えましょう。

Footnotes

Footnotes
1 両立支援助成金等、会社に対しての助成金は、一部あります。