わがやに赤ちゃんがやってくる!
その知らせを受けたとき、どんなに心ときめくことでしょうか。

育児休業取得を従業員が申し出たとき、会社は拒否することはできません。
しかし、男性の育休取得率はたったの2.65%。いくら労働者の権利とはいえ、取得を申し出るには勇気がいりますね。

育休なんて取ったら、もう出世できないのではないか。
同僚や上司から白い目で見られ、会社にいづらくなるのではないか。
そもそも仕事が忙しすぎて、長期に休むなんて考えられない。

新米パパがどんなに赤ちゃんといっしょに過ごしたいと思っても、育休取得に踏み切るのはなかなか難しいものです。
そのような状況だからこそ、知っておきたい6つのメリットをまとめてみました。

1.育休拒否は違法、不利益取扱いはマタニティ・ハラスメント

育児休業を会社が拒否することは、育児介護休業法違反となり、違法です。
また、育児休業を取得したり、取得しようとした人の評価を下げるなど不利な取扱いをした場合には、マタニティ・ハラスメントにあたります。
今年1月1日から、男女雇用機会均等法、育児介護休業法が改正され、マタニティ・ハラスメントを防止する措置をとることが、企業に義務付けられました。

この点をよく知らず、男性が育児休業をとることを拒否できると思っている管理職・経営者は、残念ながらまだまだいるようです。
育児休業取得を拒否したり、取得を申出た人にいやがらせをするなどし、行政からの勧告を無視していると、企業名が公表される場合があります。

会社の就業規則に育児休業ができるという規定がなくても、法律に基づいて育児休業取得を申請することができます。
まず、法律で決まっているということを上司に知らせてあげましょう。
どうしても会社の理解が得られない場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談し、行政指導等をしてもらうことも可能です。

2.育休中の手取りは、ふだんの8割程度

育児休業というと、数ヶ月単位の長い休暇を思い浮かべる人が多いようですが、たとえ数日でも取得できます。
また、男性に限り、2回に分けて取得することができます。
育休中の収入は、会社からの手当がなにもない場合は、ふだんの給与の 67% の育児休業給付となります。
子供が生まれて物入りなのに、たったそれだけ? と思われるかもしれませんが、育児休業給付は非課税の上、育休中は社会保険料が免除になりますので、実際の手取り収入は、ふだんの8割程度になります。

3.自分の仕事を整理し、効率化できる

連続した休暇をとるためには、前もって自分の仕事を整理し、引き継ぎしやすいようにしておく必要があります。
その過程で、ふだんの自分の仕事を見直し、より効率化することができます。

これは自分にしかできない仕事だ、と思っていませんか?
仕事にプライドを持つことは大切ですが、「自分にしかできない=属人化」によって、休めなかったり、長時間労働になってしまったりと、自分で自分の首を絞めていることもあります。
育休終了後も、なるべく早く帰って、乳児を抱えた妻をサポートしたいものです。
脱属人化、効率化の追求で、職場の風土を変えていきましょう。

4.妻との関係が深まり、家庭が安定する

出産後、退院してからが子育て本番です。
出産した妻は、まだまだ体の調子も戻らない中、24時間体制で赤ちゃんの面倒を見なくてはなりません。
夫の出番はこのときです。
退院後の妻を精神的に支え、家事や育児に積極的に関わることで、夫婦の関係を深め、家庭を安定させることができます。

せっかくかわいい赤ちゃんが生まれたのに、夫が仕事ばかりで不在であれば、妻の孤独感は深まり、夫への信頼感にもヒビがはいりますが、夫には伝わらないことが多いものです。
夫が育休取得して、しばらく家にいて自分を支えてくれたら・・・物理的に助かるだけでなく、「自分を大事にしてくれている」と妻が実感することは間違いないでしょう。

5.妻が働いている場合、就労継続で経済的に大きなリターンがある

妻がフルタイムで働いている場合は、夫の支えにより職場復帰し、その後も仕事を続けると、いったん退職してその後パート勤めをする場合と比べて、経済的に大きな差が出ます。
2005年の内閣府の試算では、大卒女性が得る生涯賃金は、ブランクなく勤め続けた場合に比べ、育児休業を取得して働き続けると、 6.9% のダウンとなります 。それに対して、いったん退職し、子供が6才のときにパート・アルバイトとして再就職すると、なんと82.2%も生涯賃金がダウンしてしまいます。

子供が大きくなり、教育費がかかるときになって後悔しないよう、妻が仕事を続けられるようなサポート体制を考える必要があります。
そのためには、育休取得も有力な選択肢となるでしょう。

第3-1-24図 正社員からパート・アルバイトへ再就職する機会費用は大きい[2]

6.男性の育休取得者が出ると会社が助成金をもらえる可能性がある

育児休業に対する国の助成金はいくつかありますが、男性の育児休業取得に対する助成金があることをご存知でしょうか?
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)といいます。


主な支給要件は下記のふたつです。

  • 男性が育児休業を取得しやすい職場風土づくりのための取組を行うこと。
  • 男性が子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を取得すること。

中小企業の場合は、5日以上の取得ということで、行政側も女性の育休よりも短期間の休暇を想定していることがわかります。

支給額は中小企業の場合57万円、さらに3年前より6% 以上生産性を向上させた企業には割増があり、支給額が72万円になります。
会社から育休取得を後押ししてもらえる、材料になりますね。

 

筆者は正直イクメンという言葉には少し抵抗があります。
親として育児をするのは当然なのに、男親であればわざわざもちあげるのはいかがなものかと思っています。
しかし、名前はともかく、行政が力を入れて後押ししているのですから、利用できるものは利用して、家庭も仕事も大切にする生活を手に入れるよう考えてみましょう。