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同性間のセクハラもありうる

来る7月1日から、男女雇用機会均等法施行規則が改正されます。

改正点はいくつかありますが、今回の改正で注目を集めているのは、次の点でしょう。

1) 職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれるものであることを明示。

いままでも、ハラスメント防止研修の中では、「男性から男性、女性から女性、女性から男性へのセクハラもありうる」ということはお話してきましたが、このように法律上明記されることの意味は大きいですね。

男性同士のセクハラとは

きのうの日経新聞でも、このような記事が取り上げられていました。

セクハラ、男性間にも多く 拒絶の意思表示が重要  :日本経済新聞

男性から女性に対するセクハラについては、世の中の理解も進んでおり、声を上げやすい状況になってきてはいるが、男性同士のセクハラについては潜在的にあるものの、被害が表に出にくいということです。男性同士のセクハラの例示として、次のように語っています。

例えば、上司や先輩が部下や後輩を風俗店に無理やり連れて行くのは論外だ。下ネタを振ったり身体に触れたりするなど、異性間でセクハラに該当する行為は、たとえ同性同士でもセクハラになる。宴席で衣服を脱ぐことを強要する行為も、男性間で特徴的な行為なので気をつけたい

性的マイノリティへのセクハラ

ここまで、「男女」「同性」ということで説明してきましたが、肉体的な性別に違和感を感じていたり、異性愛者でないなどの、性的マイノリティと言われる人たちへのセクハラについても、今回の改正で話題に上っています。

○松田委員  そこでお尋ねをしたいのですが、指針のセクシュアルハラスメント、すなわち「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう」事業主が雇用管理上講ずべき措置には、性的マイノリティに対するものも含まれると理解をしておりますが、事務局の御見解を伺いたいと思います。
○成田雇用均等政策課長  性的マイノリティの方に対する言動や行動であっても、均等法11条やセクハラ指針に該当するものであれば、職場におけるセクシュアルハラスメントになると考えております。

2013年12月20日 第139回雇用均等分科会審議会議事録

このように、行政側の担当者が「性的マイノリティへの言動や行動であっても、セクハラになりうる」と明言しています。

見えなくても存在する

性的マイノリティ? うちの会社にはそんな人はいないよ。とお思いの方もいるかもしれません。

しかし、性的マイノリティは人口の 5% とも言われており、多くは自分が性的マイノリティであることを会社では公言していません。厳しい差別にさらされたり、雇用が危なくなることも考えられるからです。

ですから、あなたが気づいていないだけで、周りには一定数の性的マイノリティがいると考えたほうがよいでしょう。

わたし自身は、在日韓国人であり、民族的にはマイノリティです。

高校卒業までは日本名で学校に行っていたため、クラスメートにもわたしが韓国人であることを知らない人が多くいました。友だちとしゃべっていて「チョンコ、チョンコ」と連発され、なにも言えなかったつらい思い出があります。話しているほうとしては軽い気持ちだったのでしょうが、30年以上たついまでも鮮明に覚えています。

性的マイノリティに対する差別的な言動はたびたび目にするところですから、職場でも毎日のようにつらい思いを抱えている人が多くいることは、十分想像できます。そのような状態で、仕事に打ち込み、生産性をあげることができるとは考えられません。

どのような言動が問題なのか

では、性的マイノリティがセクハラと感じる可能性が高いのは、具体的にどのような言動なのでしょうか。

「ホモ(レズ)なんて気持ち悪い」

「襲われそうでコワイ」

「死ねばいい」

「オネエなんて人間じゃない」

「オトコオンナはうちにはいらない」

思いつくままに書いてみましたが、あなた自身が性的マイノリティであり、職場でこのような言葉が横行していたら、仕事で自分の能力を発揮することはかなり難しくなるのではないでしょうか。

このようなことばは、相手の人格を侮辱する内容でもあり、その点からも許されないことです。また、職場環境を快適に保ち、ひとりひとりの能力を発揮することが、会社の発展に欠かせない条件であると考えると、経営者・管理職は必ず対処しなければならないものです。

セクハラ対策は男女雇用機会均等法で雇用主の義務とされています。今回の改正をきっかけに、もう一度会社の対策を見なおしてみましょう。

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