厚生労働省から、「平成25年度個別労働紛争解決制度施行状況」が発表されました。
概要は次のとおりです。
【平成25年度の相談、助言・指導、あっせんの概況】
・ 総合労働相談件数 1,050,042 件 (前年度比 1.6% 減 )
→ うち民事上の 個別労働紛争相談件数 245,783 件 ( 同 3.5% 減 )
・ 助言・指導申出件数 10,024 件 ( 同 3.3% 減 )
・ あっせん申請件数 5,712 件 ( 同 5.5% 減 )
○ 総合労働相談件数をはじめ、いずれも件数が減少
・ 総合労働相談件数、助言・指導申出件数、あっせん申請件数のいずれも減少。
・ 総合労働相談件数は6年連続で100万件 を超えるなど、高止まり。
○ 民事上の個別労働紛争の相談内容は 「いじめ・嫌がらせ 」 が2年連続トップで増加傾向
・ 「 いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は 59,197 件(前年51,670件)、助言・指導の申出では2,046件(前年1,735件)、あっせんの申請では1,474件(前年1,297件)といずれも増加。
○ 助言・指導、あっせんともに迅速な処理
・ 助言・指導は1カ月以内に96.4% 、 あっせんは2カ月以内に92.0%を処理。
相談内容については、「いじめ・嫌がらせ」が増え続けています。24年度にはじめて、「解雇」をぬいて件数が1位になったのですが、25年度もますますその傾向は強まっているようです。
内容をくわしく見ると、ほかにも注目すべきデータがあります。それが、左のグラフです。(画像をクリックすると大きくなります)
労働局に助言・指導の申出をした件数を就労形態別に見たものです。
青い部分は「正社員」ですが、全体の伸びに比べて、さほど増加しておらず、それ以外の「パート・アルバイト」「派遣労働者」「有期契約社員」など、いわゆる非正規労働者と言われる人たちからの申し出が、増え続けていることがわかります。
会社と非正規労働者との間で、労働局に持ち込まれるような職場トラブルが増加しているのです。
非正規労働者の割合は増加の一途ですから、それが主な原因かもしれません。
人数自体が増えているだけでなく、雇う側が、すべての労働者が持っている権利についての意識が弱く、非正規労働者について「正社員と違って会社の自由になる人たち」という考えが捨てられないことから来ているのではないかと考えます。
実際のところは、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法などにより、正社員よりもその処遇について細かく決まっていて、労務管理についても手間がかかる部分が多いにも関わらず、正社員に比べて無造作に扱われているというギャップが、このような事態の大きな原因であると思えてなりません。
会社側が、非正規労働者について、単に安い時給で、いつでもクビが切れる、便利な存在と考えていると、トラブルになって大やけど、ということになりかねません。
パートやアルバイト、契約社員などと会社がもめているような状態では、正社員にとっても、「安心して働けない」という受け取られてしまう可能性が高いのです。
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