ハナ
ハナ 奇跡の46日間」(予告編が始まるので音に注意)を、ヒカリ座で見てきた。

10日が初日なんだけども、夕方6時からの回に行ったら、観客は、わたしと息子、あと男性一人、の計3人。宣伝する予算もかけてないみたいだからしかたないとはいえ、韓国映画を見に行く度に、「これじゃあね」とがっかりしてしまう。

それはともかく。

この映画は実話に基づいている。

そして、南北が卓球で統一チームを作って、女子ダブルスで中国を下した試合は、実際に、テレビにかじりついてわーわーと応援しながら見ていた。夕方の放映で、夕飯の支度をしなければならない時間だったが、とても、テレビの前から離れることはできなかった。

スポーツの試合としても、たいへん見応えのあるものだったが、それ以上に「統一」した急増ペアが、大実力者である中国を破るという、あまりにもドラマティックな展開だった。そのときの興奮、感動は忘れることができない。

であるから、わたしにとっては、この映画は見る前からすでに特別なものだったのである。

ハ・ジウォン、ペ・ドゥナという主役ふたりは、どちらも実力、人気とも申し分ないし、脚本も大きな破綻なく、そもそも題材自体がどうしたって感動せざるを得ないような内容である。単純に映画としても、迷うことなくおすすめできる。

だが、現在の分断の現実がどれほど骨身にしみているかによって、この映画の見方は大きくかわってくるだろう。統一という言葉になんの思い入れもない人にとっては、単なるスポーツを題材にした感動物語であるにすぎない。それはそれで、もちろん悪いことではないが、たとえば、朝鮮が日本の植民地だったことも知らないような人が見て「感動した!」と言ったとしたら、自分でも心が狭いとは思うが、あまりいい気持ちがしないのも確かだ。

コンテクストを共有できるものと、そうじゃないものの間に、別の分断があるということなんだろう。