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「ベルリンファイル」公式サイト(予告編が始まるので音に注意)

きのうは1日で映画が1,000円だったので、夏休み中の高校生を連れて「ベルリンファイル」を見てきた。

平日とはいえ、サービスデーの夕方に、観客は10人もいなかった。韓国映画が劇場にかからなくなるわけである。

ハ・ジョンウとハン・ソッキュの顔合わせとくれば、韓国映画ファンにはヨダレが出るようなキャスティングであるが、日本では知名度ないもんねー。

リュ・スンワン監督作品で、弟のリュ・スンボムも敵役で出ているのだが、この小面憎さが実にきまっていて、映画自体が締まっていたように思う。

しかし、北側の事情や心情はていねいに描かれているので理解可能なのだが、韓国の工作員であるハン・ソッキュがなぜこういう無謀な行動に走るのか、見ていてよくわからない。「アカ嫌い」とか、組織の統制に服せないはねっかえりで、いつまでたっても出世できないとか、友人が殺されたとか、描写は過不足ないようなのだが、機嫌悪く、まわりに当たり散らすシーンばかりで、なんとなく人物に拒否感を抱いてしまったせいかも。これはどちらかというと、こちらの問題なのだが。

韓国のドラマや映画を見ていると、怒るシーンがやたらに多く、その表現も、いきなり怒鳴る、関係ない人に当たり散らす、理不尽な暴力を振るう、というものが多くて、へきえきしてしまう。ちょっと沸点低すぎるんじゃないの? と見る度に思う。

わたしも相当気が短いほうで、イライラと怒りっぽいタイプだったが、長年かけて少しずつ努力して怒りを飼い慣らしてきた。「怒りに対処する」というのは、いまでもわたしにとっては、大きな課題だ。

だから、「怒る」シーンが気になるのだろうし、禁煙した元喫煙者が、吸ったことのない非喫煙者より激しく喫煙を非難するみたいな心理状態なのかもしれない。

映画の話に戻ると、売り物のアクションは見どころたっぷりだった。韓国映画のアクションシーンは、実に痛そうな上に、描写もくどく長いので、そういうのが苦手な人にはあまりおすすめできないが。

チョン・ジヒョンが建物の外壁の高いところにしがみついて、敵から逃れようとするシーンもおもしろかった。ちょっと足をかけるだけで、あちこちぼろぼろと崩れ、外れ、なんぼなんでもボロすぎないか? という感じで、もうちょっと派手にやってくれるとジブリ映画のようになるのであるが、それだと映画自体のトーンにはふさわしくないから、これはこちらの勝手な連想だろう。

ハリウッドのアクション映画のように、ドカンドカンとすべてを破壊して、すっきりするが見た後なにも残らない、という映画ではなくて、どちらかというとあまり後味はよくないのだが、そのへんのモヤモヤ感が好きな人にはおすすめです。