おととし、人事院が一般職の国家公務員を対象に行った意識調査では、回答した男女4100人のうち、15%に当たる600人余りが、過去5年間にセクハラを受けたと答えました。 具体的な内容では、「性的な冗談やからかい」などのことばによるものが52%と最も多く、「身体への不必要な接触」の34%を上回りました。最高裁「ことばのセクハラ」懲戒処分は妥当 NHKニュース
2月26日のセクハラ懲戒事件最高裁判決の記事を見ると、「ことばのセクハラ」についても厳しい判断が下された、という内容のものがめだちます。
前回のブログに書いたように、重大な懲戒処分をするときには、懲戒の元になった行為も重大なものでなければなりません。
セクハラに対する懲戒では、強姦、むりやり抱きつく、キスする、体に触るなどの強制わいせつにあたるものが、その「重大」な内容として受け取られてきました。こういう行為があれば、解雇や懲戒解雇などもやむなし、ということですね。
しかし、近年、ことばによるセクハラも内容によっては「重大な行為」と評価されるようになりました。
判決文の中の具体的なセクハラ発言
26日の最高裁判決では、懲戒を受けた社員のひとりについて、具体的にこのようなことばが不法行為とされています。
- 自分の不倫相手とその夫の性生活の話をした。
- 「俺のん,でかくて太いらしいねん。やっぱり若い子はその方がいいんかなあ」
- 「夫婦間はもう何年もセックスレスやねん。」,「でも俺の性欲は年々増すねん。なんでやろうな。」,「でも家庭サービスはきちんとやってるねん。切替えはしてるから」
- 不貞相手が自動車で迎えに来ていたという話をする中で,「この前,カー何々してん。」と言い,従業員Aに「何々」のところをわざと言わせようとするように話を持ちかけた。
- 水族館の女性客について,「今日のお母さんよかったわ…。」,「かがんで中見えたんラッキー。」,「好みの人がいたなあ。」
いいかげんにしろ、という感じですが、これをすべて複数回、しかも1年以上にわたって聞かされた、とされています。
ひわい、露骨な内容でなくても、セクハラに該当する発言
もうひとりの社員については、ひわい・露骨な内容というよりも、女性を侮辱し、不快感・屈辱感を感じさせる内容であることが特徴です。
- 「いくつになったん。」,「もうそんな歳になったん。結婚もせんでこんな所で何してんの。親泣くで。」
- 「30歳は,二十二,三歳の子から見たら,おばさんやで。」,「もうお局さんやで。怖がられてるんちゃうん。」,「精算室に従業員Aさんが来たときは22歳やろ。もう30歳になったんやから,あかんな。」
- 「30歳になっても親のすねかじりながらのうのうと生きていけるから,仕事やめられていいなあ。うらやましいわ。」
- 「毎月,収入どれくらい。時給いくらなん。社員はもっとあるで。」,「お給料全部使うやろ。足りんやろ。夜の仕事とかせえへんのか。時給いいで。したらええやん。」,「実家に住んでるからそんなん言えるねん,独り暮らしの子は結構やってる。MPのテナントの子もやってるで。チケットブースの子とかもやってる子いてるんちゃう。」
- 具体的な男性従業員の名前を複数挙げて,「この中で誰か1人と絶対結婚しなあかんとしたら,誰を選ぶ。」,「地球に2人しかいなかったらどうする。」
- セクハラに関する研修を受けた後,「あんなん言ってたら女の子としゃべられへんよなあ。」,「あんなん言われる奴は女の子に嫌われているんや。」
上司から、1年以上にわたってこのような発言をたびたび聞かされるというのは、屈辱以外のなにものでもありません。どれほどの苦痛を受けたのか、書き写していても、腹が立ってくるほどです。
もちろん、裁判というのは個別の事件について判断するものですので、このような発言の背景には、職場の状況や人間関係などがあります。ですから、同じことばを使ったからといって、それがすなわちセクハラだというわけではないのですが、場合によってはセクハラに該当することばであることは確かです。
また、上記のような発言は、女性同士でもセクハラになります。その点についても、要注意ですね。
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