職場で雑談していますか?
「いやー、部下がくっちゃべってばかりいて、困ってるんだよ」という管理職の方もいそうですね。
仕事がおろそかになるほど雑談ばかりでは困りますが、職場での雑談には重要な目的があります。
目的のない話だから雑談でしょ、と思うかもしれませんが、話の目的はなくても、「雑談する」という行動には大きな目的があるのです。それは、お互いに親しみを感じ、よい人間関係を作ることです。
とくに、上司は部下と雑談するとき、そのことを意識していなくてはいけません。
そう考えると、「より親しくなるにはどうしたらよいか」「より信頼関係を作るにはどうしたらよいか」ということが気になってきますね。
ここでは、上に書いたような目的のために、7つのポイントをご紹介します。ご自分の「雑談」はこのチェックポイントを満たしているか、考えてみましょう。
1.自分のことばかり話していないか?
自分の話を、まわりの人が興味深く聞いてくれる。楽しいですよね。
友達同士、ご家族の中であれば、それでもいいでしょう。
しかし、職場では上下関係があり、部下は上司の話に興味がもてなくても、途中でさえぎったり、勝手にその場を離れることは難しいのです。
つまらない長話で部下をうんざりさせていませんか?
自分が気持ちよくなるために、部下に「ご接待」させてはいけません。
2.アドバイスしようとしていないか?
相手と共通の体験や趣味がみつかると、話がしやすいですね。
でも、ここにはひとつ落とし穴があります。
上司は、部下にアドバイスするのが習慣になっています。
また、年長者でもあり、人生の先輩だと自負している人も多いでしょう。
仕事とは関係のない話で、相手がアドバイスを求めてもいないのに「それはこうしたほうがいいんだよ」と、自分の体験を押し付けていませんか?
部下はたいてい「大きなお世話だ」と思っています。
3.質問攻めにしていないか?
さりげなく、相手の考え方やプライベートを知って、部下指導に役立てたい。
そう考えること自体はいいのですが、だからといって、プライベートなことを根掘り葉掘り聞くと、嫌われてしまいます。
1で「自分の話ばかりしていはいけない」と書きましたが、ひとつだけ、上司が自分のことを話すとよい場面があります。
それは「自己開示」です。
上司が自分のプライベートな情報、趣味や学生時代の話、過去の失敗談等を話すと、部下も自分の話がしやすくなります。
あくまでも「部下が気楽に話せるようにする」のが目的ですので、ほどほどで切り上げて、相手に話を向けましょう。
そして、部下が自分から話したがっていないことは、追求しないほうがよいでしょう。
相手から話が出てくるのを「待つ」という姿勢もだいじです。
4.腕組みしたり、足を組んだりしていないか?
一般に、相手の話を聞くときは、腕組みや足を組むことはやめたほうがよい行動です。
なぜかというと、写真のように胸の前で腕をクロスするのと、同じ効果があるからです。
つまり、相手を拒否しているということですね。
また、日本では、自分より目上の人の前で腕を組んだり足を組んだりしません。
相手の前で腕や足を組むということは、自分のほうが上位の立場にあるという示威にもなります。
ひとことで言うと偉そうで近寄りがたい感じになります。
どちらにしても、楽しく話をする雰囲気にはなりませんね。
5.相手の顔を見ているか?
自分が話をする立場のときは、あまり相手の顔をじーっと見ると、それこそ威圧的になってしまいます。
しかし、相手の話を聴いているときは、顔を見る、顔を見ないまでも相手のほうを見るのが基本です。
話を聞くときに、ほかのところを見ていると、「あなたの話に興味がないよ」というサインになってしまいます。
上司がつまらなそうにしている、自分の話に興味がない、と思ったら、部下は話を続けることができません。
上司に対して親しみをもつどころか、「やな感じ」という印象だけが残ってしまいます。
6.うなづいたり、あいずちをうっているか?
部下が上司の話を聞くときに、まったく無反応だと、「聞いてるのか?」ととがめたくなりますね。
でも、あなた自身、同じことを部下にしていませんか?
自分の話を熱心に聴いてくれる相手に、人は好感を持ちます。
部下との間によい人間関係を築きたければ、これがいちばんの早道です。
ただ、自分としてはいっしょうけんめい聴いていても、それが相手に伝わらなければなんにもなりません。
「あなたの話に興味があるよ。あなた自身にも興味があり、親しくなりたいと思っているよ」と伝えるのは、実は簡単で、うなづいたり、あいずちをうって話を聴けばよいのです。
7.相手の意見や、相手の好むことを否定していないか?
上司が「こないだの週末、家族でキャンプに行ってきて楽しかった」という話を最初にしました。
ここまでが自己開示ですね。
そして、部下に対して、次のように聞いてみます。
「○○さんは、アウトドアはどう? 楽しいよ」
それに対して、部下がこんなふうにいったらどうしますか?
「いえ、わたしはインドア派で・・・うちで過ごすのが好きなんです」
「えー、それはよくないなぁ。若いんだから外に出て、自然の中で過ごさないと。
家でゲームばかりやってるんじゃない?
あと、最近の若い人はおとなになってもアニメばかり見てるよね。
なんか幼稚な感じがするなぁ」
・・・・・最悪ですね。
でも、けっこうあるあるではないでしょうか。
「へー、そうなの。インドアっていうと、家の中でできる趣味があるの?」
「ええ、アニメ見るのが好きなんです」
「そうなんだー。自分はアニメってよく知らないんだけど、最近、おもしろいのあった?」
と、相手の趣味や考え方を否定せず、興味をもって話を続けてみましょう。
自分自身がその話に興味がなくても、話を聞いてみることで世界が広がるかもしれません。
そして、相手との関わりは、きっと深くなり、よい人間関係が生まれてきます。