この4月1日から、雇用保険法が改正されています。

改正内容はいくつかありますが、きょうは失業したときに、失業給付の基本手当がすぐ出るかどうかの判断基準について、ご説明しましょう。

失業保険をもらえるまで

会社を辞めたとき、元の会社から離職票をもらって、公共職業安定所に行きますよね。その日に「求職の申しこみ」をしたということで、失業給付がもらえるまでの日数のカウントがはじまります。「会社を辞めた日」や「失業した日」ではないので、お間違えなく。

失業給付をもらえる資格があるかどうかは、過去2年間、または1年間に、雇用保険に加入していて、勤務日数が11日以上ある月がどれだけあったかによって決まります。これは、会社を辞めた理由によっても違いますが、ここでは、失業給付をもらえる資格がある、という前提で、ご説明します。

まず、待機期間が7日間あり、これは全員に適用されます。

その後、辞めた理由によって3ヶ月の給付制限がつくかどうか、つまり、もらえるまで3か月かかるかどうかの判断されます。

辞めた理由によってもらえるまで3か月待つかどうかが決まる

みなさんご存知の通り、「自己都合」で退職、つまり、自分のほうから退職届を会社に出して辞めると、失業給付が出るまで3ヶ月間待たなければなりません。さらに、いわゆる自分に重大な責任があって解雇された、重責解雇の場合も、3か月の給付制限があります。

しかし、自分から退職届を出して辞めても、職業安定所で「正当な理由」であると認められると、3か月待たずに失業給付がもらえます。さらに、失業給付をもらえる資格があるかどうかについても、ふつうは2年間のうち12か月以上資格期間が必要なところ、1年のうち、6か月の資格期間でOKとなります。つまり、最短6か月、月に11日以上勤務している日があれば、失業給付がもらえるということです。

これを「特定受給資格者」といい、この範囲が、この4月から拡大しているのです。

特定受給資格者の要件は、書ききれないほどたくさんありますので、くわしくはこちらを見てください。あなたもあてはまるものがあるかもしれません。

「正当な理由」と認められる範囲の拡大

変更点は、次の2点です。

賃金の支払いが遅れた場合

改正前

賃金の額の3分の1以上が、支払日までに出なかった月が、引き続き2か月以上あった。

改正後

上記に加えて、辞める直前6か月間のうち、3か月以上、賃金の額の3分の1以上が支払日までに出なかった。

長時間労働があった場合

改正前

辞める直前3ヶ月間すべて、45時間を超える時間外労働があった。

改正後
  1. 辞める直前6ヶ月のうち、連続した3か月以上の期間で45時間を超える時間外労働があった。
  2. 辞める直前6ヶ月のうち、1ヶ月だけでも100時間を超える時間外労働があった。
  3. 辞める直前6ヶ月のうち、連続した2か月以上の期間で、平均して月80時間を超える時間外労働があった。

「正当な理由」と認められ、特定受給資格者になれる、つまり、失業給付をもらうまで3か月待たなくてよい人の範囲が、このように拡大しています。

あまりの長時間労働で、もうだめだ、これは仕事を辞めないと倒れる、と思っている方には、失業中の生活の心配が少しだけ減る改正ですね。

【2015年2月22日追記】
この記事について、たくさんのご質問をいただいております。
あなたが特定受給資格者に該当するかどうか、ご相談いただいても、残念ながらこちらでは判断しかねます。
判断するのは公共職業安定所ですので、もよりの公共職業安定所にご相談いただけるようお願いします。

 

IMG_9322たびたびある法改正への対応も、メンタルサポートろうむにご依頼いただければ安心です。

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