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タイトルを見て「はぁ?」と思った方は、給与計算や労働保険について多少なりともご存知のかたでしょう。

そう、これはありえないことなのです。

労災保険料は、全額会社負担です。給与から控除されることはありません。

なぜこんなタイトルにしたかというと、アメブロでやっているもうひとつのブログのアクセス解析を見ていたら、検索キーワードに「給料より労災保険を引く計算」というのがあって、思わず笑ってしまったからです。それは、いくら調べてもたぶん出てきません・・・と、ここで言っても伝わらないとは思いますが。

労災の保険料率は、こちら(pdf)に出ています。

もし、この検索をした方が、保険料率表を見つけてそれをお給料から引いてしまったとしたら・・・社労士として、多くの会社の賃金台帳をいままで見てきましたが、まだ見たことのないパターンの間違いになりますね。

ちなみに、いままで見た中でいちばんびっくりした間違いは、社会保険料を控除するのに、給与の額に保険料率をかけて、毎月違った金額をひいていたというものです。給与計算をしたことのない方は、なにが違うのかピンと来ないかもしれませんが、ご自分の給与明細を注意深く見ている方は、どこがおかしいかわかるはずです。健康保険料と厚生年金保険料は毎月同じ金額が引かれていますね。変更するのは、年に1回かせいぜい2回で、変更するときは会社から保険料変更のお知らせがあったりします。

労災に話を戻すと、保険料率は、業種によって決まっています。多くの事業所が該当する「その他の各種事業」では、3/1000 です。つまり、給与総額の 0.3% ということです。

わたしが社労士になった頃は、6/1000 だったような気がします。年々下がっているのは、産業構造の変化もあると思いますが、やはり、労災防止の取り組みの成果でしょう。

労働保険、社会保険の事務をやっている方にとっても、労災保険を意識するのは年に1度の年度更新のときだけ。そして、労災事故には一度も遭遇したことがない、ということもよくあります。

労災事故がおこってしまったら、まずは、健康保険を使わずに、病院に「仕事中のケガ」だと伝えることが第一です。いったん全額払うか、内金を若干とられる場合も多いとは思いますが、労災の手続きをすればいったん払ったお金は戻ってきます。

それと、通勤途中にケガをしたときも、労災の対象になりますので、病院にかかるようなケガであれば、すぐに会社に報告してください。

めったにないことなので、担当者の方もあせってしまいがちですが、そういうときこそ、お近くの社労士を探して依頼してください。当事務所でも、労災発生を機会にご依頼いただくことがあります。