ことしの算定基礎届の提出期限は7月12日(月)です。急ピッチで作業を進めている事業所様も多いことでしょう。

昨年の春頃は、とりあえず手探りで始めたテレワークも、1年以上経った現在では、手当等の給与規定も整備されてきています。定時決定のための給与の集計を誤らないよう、標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集の改定部分を確認しておきましょう。

以下、上記リンク先の文書を、わかりやすく書き改めています。

在宅勤務・テレワークにおける交通費及び在宅勤務手当の取扱いについて

問1 在宅勤務・テレワーク中に、一時的に出社するときの交通費を会社が負担する場合、その交通費は、社会保険料を決定する基礎となる「報酬等」に含まれるのか。


(答) 基本的に、その日の勤務場所が自宅であるか、会社であるかによって、扱いが異なる。

① その日の勤務場所が自宅の場合

その日の勤務場所が自宅であるが、業務命令で会社一時的に出社し、その交通費の実費を会社が負担する場合、原則として、「報酬等」には含まれない

② その日の勤務場所が会社である場合

会社で勤務するときに、自宅からの交通費を会社が負担する場合、原則として通勤手当として「報酬等」に含まれる。

通勤手当の支給方法が変わると、随時改定(月額変更)に該当することも

なお、在宅勤務・テレワークの導入に伴い、支給されていた通勤手当が支払われなくなる、支給方法が月額から日額単位に変更される等の固定的賃金に関する変動があった場合には、随時改定の対象となる。

問2 在宅勤務・テレワークで、在宅勤務手当が支給される場合、「報酬等」に含まれるのか。


(答)「在宅勤務手当」がどのような内容のものであるかによって異なるが、基本的な考え方は下記の通り。

① 在宅勤務手当が、実費弁償的なものではなく、労働の対償として支払われる性質のものである場合

在宅勤務のときに必要ななにかの費用のためのものではなく、その費用を使わなかったとしても、会社に返還する必要がないものであれば、「報酬等」に含まれる。

(例)事業主が被保険者に対して毎月5,000 円を渡し切りで支給するもの

② 在宅勤務手当が実費弁償に当たるようなものである場合

在宅勤務手当が、テレワークに必要なパソコンの購入費用や、通信費を会社が負担するような場合、その手当が、仕事に必要な実費分に対応するものであれば、「報酬等」に含ま
れない。

実費弁償にあたるかどうかの具体的な例はこちら
(1)労働者へ貸与する事務用品等の購入

① 仮払いを受けて事務用品などを購入し、その領収証等を会社に提出して精算する場合
② 立替払いで事務用品等を購入した後、領収証等を会社に提出してその購入費用を精算する場合

(2)通信費・電気料金

① 仮払いを受けて通信費・電気料金を支払い、その領収証等を会社に提出して精算する場合
② 立替払いで通信費・電気料金を支払い、領収証等を会社に提出してその費用を精算する場合

なお、通信費・電気料金については、業務のために使った費用と個人的に使った費用が一括で請求される電気料金のようなものが含まれます。
このようなものについては、就業規則、給与規定、賃金台帳等において、実費弁償分の算出方法が明示され、実費弁償に当たるものであることが明らかである場合には、当該実費弁償部分については社会保険料・労働保険料等の算定基礎に含める必要はありません

実費弁償分の算出方法については、国税庁における「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)で示されている計算方法等)などが考えられます。

(3)レンタルオフィスの利用料金

勤務時間内に自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行った場合、(1)(2)と同じく、仮払い、立替払いどちらでも、会社に領収書を提出し精算した場合は、社会保険料・労働保険料等の算定の基礎には含まれません

問3 在宅勤務・テレワークの実施に際し、在宅勤務手当が支給される場合の随時改定の取扱いはどうなるのか。

(答) 在宅勤務・テレワークの導入に伴い、新たに実費弁償に当たらない在宅勤務手当が支払われることとなった場合は、固定的賃金の変動に該当し、随時改定の対象となる。

交通費の支給がなくなった月に、新たに実費弁償に当たらない在宅勤務手当が支給される等、同時に複数の固定的賃金の増減要因が発生した場合、それらの影響によって固定的賃金の増額するのか減額するのかを確認し、増額改定・減額改定のいずれの対象となるかを判断する。

なお、新たに変動的な在宅勤務手当の創設と変動的な手当の廃止が同時に発生した場合等において、創設・廃止される手当額の増減と報酬額の増減の関連が明確に確認できない場合は、3か月の平均報酬月額が増額した場合・減額した場合
のどちらも随時改定の対象となる

また、一つの手当において、実費弁償分であることが明確にされている部分とそれ以外の部分がある場合には、実費弁償分については「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は「報酬等」に含まれる。この場合、月々の実費弁償分の算定に伴い実費弁償以外の部分の金額に変動があったとしても、固定的賃金の変動に該当しないことから、随時改定の対象とはならない