若手が入ってもすぐ辞めてしまう。既存の世代に比べると、なかなか責任ある仕事をするレベルにならない。
こんな悩みを抱える会社は多いですね。
しかし、そのときに、「今どきの若いものは根性がない」「うちみたいな小さいところにはいい人材が来ない」という、教育される側に問題があるという思考になっていないでしょうか。
若者世代と既存世代は、考え方に異なる部分はもちろんあります。いままでと同じ手法が若い世代に通じないということも多いでしょう。しかしそれを、自分でなんとかしようと思っても、なんとかなるものではありません。その方向は、考えても行き止まりです。
教育する側に問題があると考えて対処したほうが、建設的であり、現実的です。
では、どのように対処するべきか、大きく4つに分けて見てみましょう。
教育の必要性が伝わっているか
いままで、若手はOJTで育てていたから、上司が育てるのは当然だ。管理職であれば、部下の教育も仕事のうちだ。
このようにかんたんに考えていないでしょうか。
管理職の仕事は変化が多く、量的にも増え続けています。
昨年2月以降、コロナ禍というかつてない状況の中で、管理職にどれだけの要求があったか、考えてみてください。いまは特殊な状況ではありますが、それがなくても、年々新しい課題が課せられているのではないでしょうか。
そんなとき新人が入ってきても、「とりあえず簡単に指示して、その範囲内でできることをやらせる」ということになりがちです。
「先輩の背中を見て自分で学べ。むかしはそうやっていた」というのは、いまでは通用しません。この状態では、いつまでたっても1人前になれないでしょう。
会社が存続し、発展するためには、教育は不可欠です。日々忙しい中で、管理職にその意識を持ってもらうためには、会社トップや経営陣が、くりかえし注意喚起する必要があります。
もちろん、会社の中長期計画・年間計画等に組み込んでいくことも必要ですね。
教育のやり方がわかっているか
とくに中小企業では、管理職になったときに、部下指導のための教育がなされていないのが現状です。
そうなると、自分が若い頃に受けた教育をそのまま繰り返すことになりがちです。
教育といえば聞こえはいいですが、実態はこんなところではないでしょうか。
- すべてOJTだが、説明はしない。見て覚えろ。
- 言ったことができないとどなる、嫌味を言う、不機嫌になる。
- 自分の指示した方法以外に、別の方法があっても認めない。
これではうまくいくわけがありませんし、うまくいかないと、ますます誤った指導がエスカレートし、はてはパワハラということになってしまいます。
管理職や、後輩を指導するリーダーになったら、必ずその人の上司や先輩が「指導のしかた」についてレクチャーする、もしくは、外部の研修を受ける、講師を呼んで社内研修をする、という「教育のやり方」の教育が必要なのです。
教育する時間が確保されているか
新人教育に対する最大の問題がここでしょう。
管理職だけでなく、全員が忙しすぎ、教育する時間がない。
そうなると、いつまでも若手が育たず、人数がいても忙しさが解消しません。悪循環になってしまいます。
人員配置や業務配分の問題は、現場だけで解決することはできません。教育する時間を見込んだ体制をつくるのは、経営者の仕事です。
教育したことに対する報酬があるか
管理職のほとんどがプレイングマネージャーで自分の仕事を持っています。
何人かいる管理職の中で、若手の教育に熱心な人は、そこに時間をとられ、自分の仕事の成績がふるわない。
若手の教育など知ったことか、と、自分の仕事を優先する管理職は、営業成績がよく、インセンティブやボーナスもより多く受け取る。
こんな状態で「しっかり教育してくれ」と言っても、人は動きません。
金銭的に報いるかどうかはともかく、評価項目の中に「部下・後輩の指導状況」は必ず入れて、教育に力を入れた管理職は高く評価すべきです。
なんだ、当然のことばかりじゃないか、と思ったあなた。言葉にすると当然のことでも、できていないようでは当然ではありません。
上に書かれていることに心当たりがあれば、ひとつずつ対策をたてていきましょう。まずは現状に気づくことが出発点です。