10%と8% の二本立ての消費税がスタートしました。
写真は、わがやの近所のスーパーです。
建物の脇にタクシー乗り場があり、ベンチがありますが、このような張り紙になっています。
「ベンチに座っての飲食は禁止です」
スーパーで食料品を買うと税率は 8%。
しかし、お惣菜、弁当、パン、お菓子など、すぐに食べられるものをイートインコーナーで食べると、税率は10% です。
正直に申告する人は少ないでしょうから、2%のズルを防ぐために、イートインコーナーをなくしてしまう。
また、ベンチをなくしてしまう。
このような対応になっているお店が多いようです。
明らかに制度設計に問題があり、利用する側は不便に、お店側も、店内での飲食であがっていた売上がなくなってしまいます。
混乱することは目に見えていたのに、実際に施行されるまで、マスコミもあまり騒がなかったのが不思議ですね。
会社においても、就業規則でいろいろな制度を決めています。
多くは、法律に根拠がありますが、会社独自のやり方が認められている部分もかなりあります。
たとえば、子の看護休暇。
実際に子供が病気等で休まなくてはいけない状態であることを確認するために、証明書類の提出を求めるかどうかは、会社にまかされています。
なんらかの証明書を提出するのは、当然従業員にとっては負担になりますから、ここはとくに求めない、という会社が多いでしょう。
子の看護休暇は無給でよいことになっていますので、「欠勤にならない」という程度の利益のために、わざわざ子供をダシにして休まないでしょう、と考えられます。
また、うちの従業員は、みなまじめなので、そういうところでごまかさないよ、という信頼が元になっているということもあるでしょう。
法律の基準よりも上乗せした制度をつくり、子の看護休暇のときも、年次有給休暇のように賃金を支払う、という会社もあるかもしれません。
その場合、なんの証明も求めない、ということでよいでしょうか。
ズルをすることが当たり前、という風潮が社内にはびこるのは望ましくありませんね。
そこでもやはり、従業員を信頼する、という考え方も当然あります。
現実に子供が熱を出して、看護のために休んでいても、家にある市販薬を飲ませて寝かせておき、とくに薬を新しく買うこともなく、医療機関にもかからなかった。
こうなると、証明するのはかなり難しいことになります。
風邪程度で、会社に出す証明をもらうために、いちいち薬を買ったり、医者にかかるようであれば、制度の趣旨から離れてしまうことになりますね。
制度設計の段階で、ズルへの誘惑が大きいようであれば、問題ではあるのですが、国と違って、会社では互いに顔が見える範囲で制度を利用します。
そこでズルを防ぐことを重視するのか、それとも従業員を信頼するのかは、やはり会社の風土、トップの考え方が関わってくるでしょう。
法律の最低基準にのっとった就業規則を作るだけでは、解決しない問題です。