1月1日に発生した能登地方の大地震で被災された方々にお見舞いを申し上げます。
一日も早く日常生活に戻れるよう、切にお祈りしております。

上のような気持ちを持っている方は多いでしょう。
寄付はしたものの個人としてできることは少なく、もどかしい思いをしている方もたくさんいるはずです。

では、個人ではなく、法人(会社・団体)ではどうでしょうか。
今回の能登地震については、企業・団体のみ義捐物資を受け入れています。
お勤め先に働きかけ、会社単位で動いたほうがよいでしょう。

企業経営者にとっては、「たいへんな状況で苦しんでいる方たちがいるので、なんとか力になりたい」という人間的な動機以外に、会社として被災地支援という社会貢献に取組むための心構えが必要です。

どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

会社理念の実現のための行動として考える

多くの会社が、地域貢献や社会貢献という内容を、理念や社是に入れているはずです。

たまたま大地震が起こったから支援活動をするというのではなく、会社の理念を実現化するための行動のひとつとして考えましょう。

つまり、業務の一環ということです。
まず、ここをはっきりさせる必要があります。

従業員の善意を搾取しない

具体的な行動をするときに、希望者を募るのは悪くありませんが、従業員は、自分でやるかやらないか決める自由があるでしょうか。

半ば強制になっているが、「ボランティア」だからと言って、業務時間外に会社単位で行動し、時間外手当を支払わない。
これは、従業員の善意を利用して、本来会社が負担すべき支援のための経費(=労賃)を搾取している構図にほかなりません。

このようなことにならないよう、業務の一環として、時間外に行動する場合は時間外手当を支払うべきでしょう。
また、遠方に出張の場合は、それに見合った手当等の支給も必要です。

「うちの社長は、被災地支援してますときれいごとをいうけど、実際には負担がかかるのは自分たちだけ」と従業員が感じないよう、外向きの顔だけでなく、内向きの顔も「きれいごと」にしてください。

継続的に支援する方法を考える

現在は、地震に対する報道も多く、「なんとかしたい」という気持ちを多くの人が持っています。
しかし、時間が過ぎれば過ぎるほど、まだ困っている人がいても報道の量が少なくなり、被災者がいるという現実が人々の意識に上らなくなるのは、過去の大災害のことを考えても明らかです。

個人であればしかたのないことかもしれませんが、会社として取組む場合、最初だけがんばっても、すぐに忘れてしまうのでは、会社理念を実現するための方法として不十分です。

被災地の支援は初動だけではなく、その後も引き続き物資や労働力が必要です。
そのために、業務の中にどのように支援を位置づけるか検討し、長期的に支援する方法を考えましょう。

被災地支援は従業員のエンゲージメントにもプラス

被災地支援という社会貢献は、会社の外である社会の役に立つだけでなく、会社の内側にいる従業員にもプラスの影響を与えます。

SNSで支援状況を発信する等して、どんどん世間にアピールしましょう。
ふだんは BtoB で一般の人には知られていない会社でも、「あそこは被災地支援を継続して熱心に行っている」という評判が立てば、多くの心ある従業員はそれを誇りに思い、会社への愛着が増すことでしょう。