「こんなこと言うと、セクハラって言われちゃうよね~」
という、前置きをしてから、セクハラ発言する。

「あなたとは親しいんだから、このくらいいいでしょ?」「あなたは冗談を受け流せるおとなの女性でしょ?」という甘えというか、脅迫というか、が、背後に隠れていて、うんざりですね。

これと似ているけれど、ぜんぜん違う話を Twitter でみつけました。

「あ、いまのはまずかったかな?」と思ったときに、周りにいる人に「いまのはセクハラだと思う?」と聞いてみる。
周りの人も、ちゃかすのではなく、真剣に考える。

ハラスメント防止研修の講師をしている立場からすると、こんなふうに、研修が終わった後で職場の中で活かしてもらえれば、最高です。

「男性同士での注意喚起も盛んになった」
「コミュニケーションが円滑になった」
こんな研修をめざしています。

しかし、ハラスメント防止研修のご依頼を受けるときには「パワハラを中心に」というご注文が多いのです。
「セクハラについては、もうだいたいみんなわかってるよ」、という気持ちがあるのでしょう。
または、「うちの会社は女性が少ないから、あんまり関係ないよね」という気持ちでしょうか。

でも、実際に研修をやってみると、多くの人が思っているセクハラは体に触ることであり、旧来の男女役割分担意識が問題です、と申し上げると、なんだか自分の思っていたのと違うぞ、という雰囲気になったりします。

引用したツイートは10年以上前のことだそうですが、残念ながら、女性を対等な職場の仲間として見る、ということは、いまでもできていない会社が大半ではないかと思います。
日本社会自体が、女性を性的魅力があるかないかだけで分類し、女性を意思をもったひとりの人間として見ていないという状況の中にあるので、当然といえば当然です。

「これもセクハラ?」というひとことが、身近な職場を変えていき、いずれは社会全体が変わっていきます。
社会全体が変わっていけば、身近な職場も変わります。

社会全体の流れをつくる大きな要素として、法律の改正がありますね。
もうすぐ予定されている、パワハラ防止措置の義務化もそのひとつです。
そもそも、男女雇用機会均等法の制定と度重なる改定で、日本の職場環境はずいぶん変わりました。

どちらが先、ということはありません。
自分の見えるところから変えていこう、という気持ちが多くの人の中にあると、冒頭にとりあげたような、うんざりするセリフを聞くことも減っていくのではないでしょうか。