新型コロナウイルス感染防止対策が、経済にも大きな打撃を与えています。
とくに観光業界は3月の売上が激減というところがほとんどでしょう。
従業員を出勤させていても、仕事もないし、人件費が払えない。
このような場合に使えるのが雇用調整助成金です。
現在、コロナウイルス対策でさまざまな特例が実施されており、利用を検討している事業所も多いはずです。
この助成金を申請しようと思うと、まず最初の関門が、休業について労使協定を結ぶことです。
従業員に対して、休業すること、その間の補償について説明し、代表者に同意してもらわなければなりません。
ここでほとんどの社長さんが気にするのは「お給料がいくら減るか」ということです。
もちろん、その点も試算して説明しなければいけません。
でも、「会社が休業します」「その間、給与の100%は払えないので、法律通り60%以上は保障します」と言われて、従業員がまず心配することはなんでしょうか。
「自分は解雇されるのではないか」
「会社が倒産するのではないか」
ということでしょう。
ほとんどの中小企業は、現在いくら苦しくても、いまいる従業員を解雇してしまうと、その後また採用できるかどうかわかりません。
経済状況が好転しても会社は人手不足で倒産、ということになりかねません。
ですから、なんとしてもいまいる従業員には残ってもらいたい。
しかし、固定費を少しでも削減したい。
これが、多くの社長さんの考えていることです。
解雇しようかどうか考えている社長は少ないでしょう。
「ぜったい倒産しません」ということは、断言できないかもしれません。
しかし、「ぜったい解雇はしません」ということは、断言しておくべきです。
倒産しないため、解雇しないために、従業員を休業させ助成金を申請する。
雇用を守るためにできる限りのことを行う。
これは、全員の前で宣言しておくべきです。
会社もたいへんなときだから、給与を100%払えないことについて理解してほしい。
このようにお願いするべきです。
ところが、社長さんたちも目先どうするかで頭がいっぱいで、従業員がなにを心配するかまでは考える余裕がないんですね。
「解雇しない」は自分の中で当たり前で、考えにのぼらないので、説明の中にも入ってこない。こんなふうになりがちです。
「うちの従業員なら、この説明を聞いてどう思うか、なにを心配するか」を予想して説明に臨むべきです。
そして、説明のときに「いま心配なことはなにか」「休業中困りそうなことはないか」を尋ねておきましょう。
従業員の心配はすべて解消できないかもしれませんが、できる限り真摯に答えましょう。
その姿が「この会社ヤバいから、ほか探そうかな」と思う従業員を押し止めるかもしれません。
説明はできるだけ透明・率直に。
相手が心配しそうなことに対して、あらかじめ答えを考えておく。
質問を受け、真摯に答える。
社長さんたちにさしあげるアドバイスは上記の3点です。
なんとか、この苦境を乗り切れるように、社労士としてもせいいっぱい応援します。