カスタマーハラスメント対策とは
カスタマーハラスメントについての項目を研修の中に入れてほしい、というご依頼が増えてきました。
この問題は、長年あったにも関わらず、従業員側に一方的に我慢を強いる形で解決されていて、やっとここ数年、厚労省が取り組み始めたことで、現場にも少し意識が出てきたかな、というところです。
セクハラやパワハラと違い、カスタマーハラスメントは行為者(加害者)が社内にいるわけではないので、予防が難しいものです。
対策としては、次のように多岐にわたっていますが、現実に従業員が顧客からどなりつけられて傷つくことを防止するという方向性ではありません。
カスハラを想定した事前の準備
カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
①事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
②従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
対応方法、手順の策定
③社内対応ルールの従業員等への教育・研修
④カスハラが実際に起こった際の対応
⑤事実関係の正確な確認と事案への対応
⑥従業員への配慮の措置
⑦再発防止のための取組
①~⑦までの措置と併せて講ずべき措置
⑧カスハラについて相談したことで、解雇その他不利益な取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知する
ここでは、強い怒りを示している顧客に対して、どのような心構えで対したらよいか、説明しましょう。
顧客の怒りにどのように対処するか
怒りというのは、とても強い感情です。
仕事の中でミスをして、お客様に怒られた。
ミスはないけど、なぜか怒られた。
相手の怒りが強くて、どなりつけられ、とてもへこんだ。
へこまないけど、こっちも腹がたってたまらない。
こんな経験のある方も多いのではないでしょうか。
強い感情を直接ぶつけられると、こちらもなかなか冷静ではいられません。
もし、自分や、会社側に非があったとしても、「怒られた」ということに感情が反応してしまい、逆に素直に反省できないということもありますね。
ここでひとつ、発想を転換してみましょう。
「怒っている人」というのは、実は「困っている人」なのです。
相手の怒鳴り声は、実は「なんとかしてくれ!」という悲鳴なのです。
「きょうまでと頼んだのに、どうしてできていないんだ!」
というのは、
「きょうできていると期待して、これから先の予定を組んでしまったのに、変更するのは難しい。どうしたらいいんだ」
という困惑でもあり、
「自分の指示がちゃんと通らなかった。自分は相手から軽視されている。どうしたらいいんだ」
という困惑でもあります。
会社側に非があれば、もちろん誠実に謝罪をすることが必要です。
自分自身には非がなくても、お客様に対しては会社の代表として謝罪をする必要があるときもあります。
謝罪するとともに、相手が困っているポイントを考え、困っている点に理解を示し、自分にできることをするという姿勢を見せる、ということが、重要です。
そして、「この人は顔を真赤にして怒鳴っていて、ほんとにコワイけれど、実は困っていて、助けてくれ、と言っているんだ」と思うようにすると、相手の怒りの感情に巻き込まれることも少なくなります。
目の前で相手が怒っているときは、なかなかこのように考えるのは難しいですが、過去に怒りをぶつけられたときのことを思い出して、相手はどこに困っていたのか考えてみるのも、自分の発想を転換する練習になります。
ぜひ、試してみてください。