職場や日常生活で怒りをぶつけられる場面に遭遇すると、つい防御的になったり、反発したくなることがあります。
しかし、「怒っている人は困っている人」という視点を持つことで、相手の本当のニーズに気づき、建設的な対応が可能になります。
今回は、怒りの裏側にある「困りごと」にフォーカスしながら、具体的な対処法を7つのポイントで解説します。
1. 冷静さを保つ
怒っている相手に向き合う際、まず必要なのは冷静さです。感情的になればなるほど、相手の「困っている部分」を見落としてしまいます。
一呼吸おいて、「この人は何に困っているんだろう?」と自分に問いかけてみましょう。
例:
クレーム対応中に相手が声を荒らげている場合、「この人は怒鳴りたいのではなく、何かが解決されていないから困っている」と考えます。
このように考えることで、相手に怒りに巻き込まれて、萎縮したり、不愉快な気分になることがある程度回避されます。
このように考えて冷静さを保つと、相手の言葉の裏にある本質的な問題を探る余裕が生まれます。
2. 傾聴する
怒りの感情には必ず理由があります。
その理由を知るためには、相手の話を遮らず最後まで聞くことが大切です。
傾聴することで「自分の困りごとを理解してもらえた」と感じてもらい、次のステップに進みやすくなります。
例:
顧客が商品の不具合について怒りをぶつけてきた場合、「具体的にどんな状況で問題が起きたのか教えていただけますか?」と質問しながら話を深掘りします。
顧客の気分は、怒りよりも質問に答えることにフォーカスされて、冷静さが戻ってくることがあります。
また、人は、自分の話をきちんと聞いてくれる人には好感を持つものです。
相手が抱える困りごとを理解するだけでなく、顧客が落ち着いてくるという効果が期待できます。
3. 共感を示す
怒りの根底には、不安や悲しみなどの一次感情が隠れていることがあります。
「おっしゃる通りですね」「それはご不便でしたね」と共感を示すことで、相手は安心感を得て冷静さを取り戻します。
例:
納期遅れでクレームを受けた際、「予定通り進まないとご心配だったと思います」と共感することで、相手との心理的な距離を縮められます。
4. 事実確認を丁寧に行う
怒りには時として誤解や思い込みが含まれていることがあります。
事実確認を丁寧に行うことで、相手が抱える「困りごと」の全体像が明確になります。
例:
「具体的にはどの部分で問題が発生したのでしょうか?」と尋ねることで、相手の主張を整理し、本当の課題に焦点を当てることができます。
また、相手に、あなたが問題解決をしようとしているという姿勢が伝わるでしょう。
5. 解決策を提示する
怒っている人は、多くの場合「どうしたらこの状況が改善されるか」を求めています。
具体的な解決策や選択肢を提示することで、「この人は自分を助けようとしている」と感じてもらえます。
例:
「今回の件についてはA案またはB案で対応可能です。どちらをご希望されますか?」と提案することで、相手に選択肢と安心感を与えます。
6. 相手ではなく問題に目を向ける
怒っている人への対応では、「問題解決」にフォーカスする姿勢が大切です。
「あなたが悪い」という視点ではなく、「この状況をどう改善できるか」という視点で話すことで、対立構造から協力関係へと変わります。
例:
部下から不満をぶつけられた際、「どうすればこのプロジェクトがスムーズに進むと思いますか?」と問いかけることで、一緒に解決策を考える姿勢を示します。
7. 感謝の意を伝える
最後に、「お話しいただきありがとうございます」と感謝の意を伝えることで、相手との関係性がポジティブなものになります。
自分の困りごとに耳を傾けてもらえたという安心感から、相手も冷静さを取り戻しやすくなります。
例:
「貴重なご意見ありがとうございます。このようなお話は今後の改善につながります」と伝えることは、対話の締めくくりとして適切です。
まとめ
怒っている人への対応では、「怒り」そのものではなく、その裏側にある「困りごと」に目を向けることが重要です。
「この人は何に困っているんだろう?」という視点で接することで、単なる対立ではなく、信頼関係構築や問題解決へとつながります。
冷静さ・傾聴・共感・事実確認・解決策提示・問題志向・感謝という7つのステップで対応し、人間関係やビジネスシーンでより良い結果につなげていきましょう。